利岡裕子先生の生活シーンで学ぶ"しつけ"

2023.07.22

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(1)

PART1(1)犬の散歩、楽しんでいますか?犬と散歩をするのが、苦痛でしようがない人はいませんか?犬はペットの中で唯一、あなたとともに外出を楽しむことができるペットです。こんな動物は世界中どこを探してもいません。だから犬と散歩ができるのは、飼い主の特権なのです。1回目は、散歩が人にも犬にもすばらしい利点があることをご紹介したいと思います。犬と歩けば、人は心も体も健康になります不思議なことに、どんな人も犬と歩いていると、人間だけで歩いているより、「やさしい人」「安全な人」に映ります。歴代アメリカ大統領の宣伝用の家族写真では、必ずといっていいほど愛犬が写っているのも、こうした理由なのでしょう。 でも、そんな難しいことを持ち出す必要もなく、犬と散歩を楽しんでいる人なら、実感しているはずです。地域の人々と気軽に挨拶したり、犬を介した顔見知りの人々と声を掛合ったりがとても自然にできるということ。それに知らない人に愛犬が微笑まれたりすることで、あなたの心にやさしいうれしい気持ちが灯り、つい見知らぬ人と微笑みを交してしまうことも。仕事で疲れている人、家事で忙しい人、お年寄りなどの介護で息が詰まりそうな人、閉じこもりがちの人などなど、日常に気分転換が必要な人が犬と散歩に出るとリフレッシュできることは、よく知られていますね。そう。犬と歩けばあなたの心が元気になるのです。そればかりではありません。毎日歩くことは、あまり歩かない人の日常に比べて体の健康に良いはずです。体力増強、骨粗しょう症予防、衰えがちな筋肉の運動に、肺や心臓の適度な刺激に、と犬と歩けば自然なかたちで健康増進となります。 四季の移り変わりを肌で感じながら、心と体にゆとりと、心地良い刺激を与えてくれる愛犬との散歩。犬のためにしかたなく散歩に行くなんて、こんなもったいないことはありませんよね。とっておきの芸を工夫して教えるのも楽しい!「大井エンビ」くんのバンザイ家族と歩くと、犬は「いいコ」になります犬の散歩は、犬にオシッコとウンチをさせるためと思っていませんか?と~んでもない!犬にとって、家族といっしょに外出することほどすばらしいことはありません。以下にその効能効果を上げてみましょう。1. 適度な運動ができて、ストレスが解消されます2. 心の刺激となって、イキイキした犬になります。3. 犬が家族以外の人間を見たり、家庭以外の人間の営みを見たりできる唯一の時間ですから、毎日いろんな所に連れて行かれる犬ほど人間社会を体験でき、ストレスに強い犬に育って行きます。(注・「ストレスに強い犬」とは、ちょっと変わった場所や音や人間やといった外界の刺激に対して、落ち着いていられる犬のこと)4. 犬の困った行動が少なくなります。運動不足、ストレス過剰、たいくつなどが原因の愛犬の困った行動は、毎日の散歩によって解消できることがよくあります。5. 他の犬との出会いや遊びができて、犬は他の犬に対して寛容になり、ストレス解消になり、いい意味で自信に満ちた明るい犬になります。6. 外出の先々でドッグトレーニングをすると、愛犬はどこででもあなたのいうことが聞ける信頼できる犬に育っていきます。

2023.08.24

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(2)

PART1(2)利点を生かすための、散歩の基本知識犬を連れて散歩に行くのは、人間同士で外出するのとはちょっと違います。物言わぬ生き物と出かける配慮が必要ですし、また出かける先には犬が怖い、キライだという人もいます。ですから人も犬も快適に楽しく散歩をするために、次のようなことに気をつけてくださいね。愛犬をコントロールできると、他の犬が近くを通過しても、落ち着いて待っていられます。1.人も犬も互いに健康なときに適度な運動ができて、ストレスが解消されます2.暑さに弱い犬の気配りを犬は暑さに大変弱い動物です。夏は特に地面のアスファルトを手で触っても熱くなっています。こんな状態では、犬のパッドを痛めますし、毛皮を着ている犬は日中の暑さが体に堪えるだけでなく、熱中症などで呼吸困難になったりします。できるだけ気温が低い時間帯に散歩に出かけてください。ちなみに犬は朝と夕方が活発になる時間帯です。この時期に散歩に出かけると、ストレスが上手に発散させることができるでしょう。3.老犬の散歩はほどほどに犬も歳を取ると、あちこちが老化してきます。若い頃と同じような距離を歩かせることは、老犬にとって酷なことです。獣医師と相談して、老犬にふさわしい散歩をしてあげたいものです。4.ワンパターンの散歩コースは意味がありません毎日、同じ場所へ、同じルートを通って行く散歩は、あなたもたいくつですし、犬も人間の社会を少ししか体験できず、散歩に行っているのに騒々しいストレスに弱い犬になりがちです。毎日少しだけでもいいですから、場所やルートに変化をつけた散歩に心がけてください。5.犬のサイズに関係なく散歩は大切小型犬は散歩は必要ないと、未だに誤解している人がいますが、そうではありません。散歩はどんなサイズの犬にとっても、心の刺激になり、犬の社会化教育になるのです。家の外に一度も出たことのない箱入り娘、箱入り息子ほど、手に負えないわがまま犬になりやすいのはそのためです。犬のサイズに関係なく、散歩に出かけて人間社会を見せてあげましょう。落ち着いたストレスに強い、自信に満ちた明るい犬に育っていきます。6.初めての場所に慣らすには?愛犬をはじめて知らない場所に連れていくときは、行った先で怖がったら(あるいははしゃぎすぎていたら)、黙ってすぐに帰りましょう。そして落ち着いたら、「おすわり」など愛犬が従える号令をかけて、できたらほめてごほうびの食べ物を少しあげましょう。それからもう一度、さっき行った所に向って歩き、目的地に行くのではなく、犬が怖がる(あるいははしゃぐ)前の距離まで歩き、それからUターンして帰ってきます。こんなふうにはじめての場所に慣らすときは、時間をかけて慎重にしましょう。7.犬連れマナーは大丈夫?犬を連れて歩いていると、あなたが意識するしないにかかわりなく「犬連れの人間としての社会性」が周りから問われます。愛犬の排泄の場所、排泄物の処理はもちろんのこと、リードを短く持って歩いたほうが周りの迷惑にならないときがあること、他の犬と接触させることで迷惑になる人がいるかもしれないなど、周りの人々にいつも気を使うべきでしょう。あるいは公園のベンチで犬を座らせていいのか、お店の中に犬を入れていいのかなど、行く先々で人だけと出かけるのではない配慮が必要です。8.あなたのせいで犬嫌いを増やしていませんか?愛犬の衛生管理ができていないと、周りの人々はその不潔さに犬がきらいになるものです。愛犬のお手入れの手抜きは、周りの人々への配慮に欠けた行為と見られます。愛犬の病気予防や衛生管理は、くれぐれも手抜きをしないでくださいね。

2023.08.31

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(3)

PART1(3)犬の散歩には道具が必要です首輪とリードは何よりも大事な道具愛犬との散歩で何よりも大事な道具が、首輪(カラー)と引き綱(リード)です。なにしろ、この2つは犬がどんなときでも必要な数少ない道具で犬の命を守るために、犬から事故を防ぐために、そして周りの人々や他の動物たちに迷惑をかけないために。大切な、大切な基本の道具です。カラーとリードの選び方や使い方の詳しいことは次の機会にご紹介するとして、ここではカラーとリードが道具としてちゃんと機能する基本中の基本の使い方について触れたいと思います。カラー訓練用ではない普通の犬の首輪はどんなタイプのものでも、使い方がまずいと、犬が踏ん張って動かないときなどに首輪が犬の首から抜けて、思わぬ事故に遭うことがあります。ですから普通の首輪は必ず犬の首にぴったりと、指が1本入るか入らないくらいつめて装着するのが基本です。首がしまってかわいそうだからとゆるく首輪をはめている人がいますが、これは犬の命を守れない、もっとかわいそうな使い方です。リードリードには色んな素材、長さ、太さのものがあります。使い方で大切なことは、どんなタイプのリードであっても、いつもリードを伸ばしっぱなしにして歩かないということ。人や車の往来がある場所や、拾い食いしてしまいそうな場所や、他の犬たちと遭遇するような場所では、周りの迷惑にならないようにリードを短く持って歩きます。そして犬に地面の匂いを嗅がせたり、あちこち好き勝手に歩かせたり、マーキングさせたり、と犬にある程度自由にさせても、犬が安全で周りの迷惑にならないと思える場所に来たらリードを全部伸ばしてやります。リードはこのように、場所によって短く持ったり、長くして歩いたりするための道具なのです。あなたはいつもリードは目いっぱい伸ばしっぱなしで歩いていませんか?犬は暑さに大変弱い動物です。夏は特に地面のアスファルトを手で触っても熱くなっています。こんな状態では、犬のパッドを痛めますし、毛皮を着ている犬は日中の暑さが体に堪えるだけでなく、熱中症などで呼吸困難になったりします。できるだけ気温が低い時間帯に散歩に出かけてください。ちなみに犬は朝と夕方が活発になる時間帯です。この時期に散歩に出かけると、ストレスが上手に発散させることができるでしょう。その他、こんなものも犬の散歩道具に重宝します・ ウンチを入れる袋(ウンチを土に埋めるスタイルは迷惑!必ずナイロンの袋などに入れて自宅に持ちかえりましょうね)・ テッシュペーパーや小さなサイズのペットシート(愛犬が下痢をしたときなどに便利です)・ 愛犬が好きなおもちゃやごほうび用の犬のおやつ(散歩中に愛犬の気を引いて歩いた方が、事故がおきにくい場合などに重宝します。もちろん、公園などでいっしょに遊ぶときに!)・ 携帯電話や小銭(何かあったときに家族に連絡できるように)・ 水を入れたペットボトル(マーキングできない場所でうちのコ、しちゃった!ときに。街に住んでいる犬には必需品かもしれません)・ 水飲み用の器(暑い気候のときに)・ フレキシブルリードや予備のカラーとリード(公園でたくさん走らせたい犬に。もしものときに予備のカラーとリードを持っていると安心ですね)

2023.09.04

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(4)

PART1(4)犬と散歩に出る前にもう一度確認しましょう!散歩の確認10カ条1. 適性の運動量は?それはいちがいにはいえません。人と同じように犬だって、体調が悪いときもあれば、暑くてへばっているときもあれば、もちろん年齢を重ねていくと、運動量も変わります。それに、ただ歩く散歩、飛んだり跳ねたりする散歩、自転車などの伴走による散歩など、運動の質にもよります。そこでここではどんなときでも、ある程度目安になることをご紹介したいと思います。それは愛犬が散歩から帰って来たときの状態を見ることです。・ぐったりしていたら?・・運動のしすぎかも。・まだ騒いでいたり走りまわっていたら?・・・運動不足かもしれませんが、運動のしすぎでテンションが下がらないままなのかもしれません。・無気力な感じなら・・・運動不足かもしれません。・ゆったりとくつろいでいたら?・・・今日の散歩の運動量が適性だったと判断します。2. 散歩に行くのを決めるのはあなたどこへ行くのか、どこで遊ぶのか、どこで愛犬のしたいことをさせるのか、他の犬とごあいさつをさせるか、いつ家に帰るのか、などなど犬の散歩での決定権は常にあなたにあります。愛犬まかせにしていると、事故やトラブルや迷惑の元ですよ!そして何より、あなたが苦労するはず。3. 他の犬とのごあいさつは?仲良しの犬なら別ですが、初めて出会う犬、顔見知り程度の犬には、飼い主同士が軽く会釈をする程度で、犬同士を接触させるのはトラブルの元ですからやめましょう。4. 他の人とのごあいさつは?人を見ると飛びついてしまう犬は、「お座り」で相手に撫でてもらえるようになるまでは、あまり無造作に人に近づけないほうがいいでしょう。これは小型犬でも同じです。どうしても相手の人が近づいて撫でたがるようなら、リードを短く持って、飛びつかないようにコントロールして撫でてもらってくださいね。 また知らない人を見ると、不安そうにたたずんだり、後ずさったりする犬の場合は、無理に他人に触らせて不安を増長させないで下さいね。ますます他人が嫌いになったり、ときには怖いあまりに相手を噛むことも考えられます。愛犬が事故を起さないように守ってやるのも、飼い主のあなたの責任ですから。5. マーキングなるべくさせないで!空き地や山の中など、他人が容認してくれる場所以外では、マーキングはさせないようにしましょう。排泄としてオシッコをするのと、犬同士の名刺交換のマーキングとは、意味がちがうのです。リードを短く持ってマーキングをがまんさせて、排泄させても良い場所でリードを緩めてやると、まとめてオシッコをするようになります。そうやって膀胱を空にしてやると足を上げてもオシッコが出ない状態になります、そうでないと、たとえ自宅で排泄をすませて散歩に出たとしても、膀胱にたまっていると、あなたがリードを長く持ってぼんやり歩いたら、愛犬はマーキングするでしょう!油断は禁物です。6. ウンチこれは、あなたが後始末をすることです!土に埋めるのではなく、ナイロン袋などに入れて、自宅に持ちかえりましょう。7. 散歩コースは変化に富むようにその理由は前に書きましたね。毎日の散歩のコースはいろいろな変化に富んだ道を歩きましょう。ある日は公園まで、ある日は繁華街まで、ある日は駅まで、ある日は空き地まで、ある日は山まで、ある日は海まで、ある日は友達の家までという具合に。8. 愛犬のしたいことをさせる?2で説明しました。マーキング、地面の臭いをかぎたい、他犬とごあいさつがしたい、他人にご挨拶したい、行きたい、帰りたい、もっと遊んでいたい、などなど。愛犬がしたいことをさせる決定権は全部あなたに手の中にあります。さて、させましょうか?それとも今はがまんさせましょうか?犬の安全は大丈夫?周りに迷惑がかからない?あなたの時間の都合など苦痛はない?これらを考えて、どちらかに決めてください。9. 他の犬と遊ぶ?仲良しの犬同士が遊ぶのは、犬にとっても最高のストレス発散になり、社会化も身につき、どんどん遊んでほしいと思います。ただし、条件は4つ。遊ぶ犬同士は仲が良くて、互いに楽しめること。病気予防がしてあること。そして犬がオフリードであること。リードつきはむしろ犬同士の喧嘩や事故の原因になるからです。ということは最後の条件は、犬が事故に遭わないよう扉が締められる管理された場所で遊ばせることです。10. オフリード扉が締められる管理された場所以外で、犬をオフリードにしてしまうと、愛犬の命が守れません。どんなにおとなしい犬でも、賢い犬でも、絶対安全ではありません。また、オフリードの犬は周りの人や他の犬にとっては、脅威となることもあります。本当に気をつけてくださいね。

2023.09.04

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(5)

PART1(5) さあ犬と散歩に出かけましょう首輪とリードの準備はOK?愛犬と毎日散歩に出かけるのが日常のあなた。ちょっと、確認しましょう。家を出るときのこと。その首輪とリードの持ち方で愛犬は安全でしょうか?あなたは安全でしょうか?人も犬も安全に外に出られるでしょうか?佐々木俊子さんと愛犬のまいちゃん(柴犬ミックス・メス・年齢不祥)にモデルになってもらい、順を追って安全な方法をご紹介したいと思います。もう一度確認のために参考にしてくださいね。モデルの佐々木俊子さん(静岡県藤枝市在住)と愛犬のまいちゃん。ご主人がゴルフ場で放浪していたまいちゃんを保護して、佐々木家の家族の一員になりました。人懐っこさは天下一品!のまいちゃんです。1. 首輪の装着は、犬のアゴの下からかけます犬の頭の上からおおいかぶさるように首輪を装着しようとするといやがるよ!2. 首輪は、指が1本入る程度に締めますそれより首輪がゆるいと、犬が後ずさりしたときに、首輪が抜けることがありますから要注意です。3. リードのナスカンは大丈夫?金属疲労がないか毎回よく見て確認してから、首輪の留め金の部分にしっかりとつけましょう。4. 安全のために、リードの端はいつもあなたの手の中に収めますリードの端っこは垂らしてしまわず、親指にいつも引っかけておきます。こうすると、リードの端を踏んであなたが転んだり、愛犬がリードごと逃げるなどの危険を防止できます。5. リードの余分な長さの部分は手の中に畳んで持ちます手にグルグル巻きにしてリードを持つのではなく、手の平の中に折りたたみながらリードを手の中に納めます。こうすると必要なときにリードをすぐにのばせます。何より愛犬に引っ張られても、しっかりとリードを持っていられます。6. 家を出るときは、リードは短く持ちましょうリードは人と犬の安全のために、その長さを環境などに応じて長さを調整して持つ道具です。家を出るときリードが長いまま外に飛び出すと、歩行中の人や自転車にぶつかるなど、思わぬ事故につながります。そのためリードを短く持って、何が飛び出してきても大丈夫な状態で家を出ます。7. 愛犬のリードの長さ目安を知るコツ愛犬をあなたの体側に置いて(犬は立っていても、座っていても可)、あなたは腕をのばした状態でリードを持ちます。そして画像のように、首輪からリードを持った手までに少し「ゆるみ」が出る長さが、リードを短く持った状態です。あまり短くすると、犬はいつも首が締まった状態で歩くことになり、「ゆるみ」が長すぎると安全性にかけてしまいます。8. リードの持ち方リードは片手で持ってもいいですし、両手の一方をリードに軽く添えて持ってもかまいません。引っ張りが強い犬は両手でリードを持っているほうが安全です。

2023.09.04

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(6)

PART1(6) さあ犬と散歩に出かけましょう「いいよ」と言われるまで、玄関が開いても待っていられる?1. 理想は玄関扉の前で「おすわり」ができて、「いいよ」と言われたら、あなたと一緒に外に出る犬だと安全ですよね。でも何度も「おすわり」って言わないと従わないのなら、あるいはこんなときに号令がきけないのなら、無理に「おすわり」をさせようとしないでください。あなたも愛犬も散歩の前に気分が悪くなって、楽しい散歩が台無しになるでしょ?号令の必要がない、もっと簡単で楽しく安全に外に出る方法をご紹介します。2. 最初は、扉前で、4本足が地面についてリードが緩んだら出発早く外に出たいよお!と気がせいている犬には、まずとにかく4本の足が地面について、短く持ったリードがちゃんと「ゆるみ」のある状態になるまで、辛抱強く待っていてください。待っているときは、犬を叱ったりなどの声かけをしてはいけません。また犬を見たり、撫でたりなどもしてはなりません。ただただ無言のまま、4本足が地面について、リードがゆるむ瞬間を待っていて。そうなったらすぐに「いいよ」と合図をかけながら扉を開け、さあ出発!3. そんなに時間がかからず2の状態ができるようになったら、次の練習ステップに入ります。扉のノブを握ります。犬の足は地面にちゃんとついていて、リードが緩んでいますか?それならすぐに「いいよ」と合図を言って出かけましょう。でも飛びついたり、前に行こうとしてリードを引っ張るようなら、無言で(心の中では、あ~あ残念!とつぶやいて)ノブを握った手を下ろして、犬の足が地面について、リードがゆるむまで待ちます。そしてそうなったら、またノブを握ります。これのくり返しです。ノブを握っても、地面に4本足がついていて、リードがゆるんでいるなら、すぐに「いいよ」と合図をかけながら扉を開けて、さあ出発!4. 次は扉を少し開けても、落ちついていたら出発です3ができるようになったら、いよいよ扉を開けて、「いいよ」の合図が出るまで待っている練習をします。扉を開ける隙間は、最初はちょっとだけ開けてみます。これで犬が、リードを引っ張らず、4本足が地面についていたら、すぐに「いいよ」の合図で出発します。でも扉をちょっとでも開けると前に飛び出すようなら、飛び出す前にすぐに扉を閉めます。リードがゆるんで地面に足がついたら、またちょっとだけ扉を開けます。ダメなら扉をすぐに閉める・・・という具合に、何度も同じことを無言のまま(心の中で何をつぶやいてもいいですよ!)続けていると、そのうちどんな犬もリードを引っ張らず、地面に4本足がついていたら扉が開く(散歩に行ける)ことを理解します。5. 人と犬が通れる幅まで扉を開けてもOKなら完成です4を続けましょう。毎日少しづつ扉を開ける幅を広げて練習していきます。最後はあなたと愛犬が楽に出ていける幅まで扉を開けても、4本足が地面について、リードが緩んだ状態で、「いいよ」と合図がかかるまでその状態でいられるようになります。そうしたら完成です。さあ楽しい散歩に出発!6. 出発前に扉の前で「おすわり」させたい?そういう希望がある人は、号令を教えるのもいいのですが、犬が玄関の扉の前で偶然に「おすわり」をするのを待って、その時がきたら「おすわり」と言った後に「いいよ」と合図をかけて出発するといいでしょう。

2023.09.04

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(7)

PART1(7) 犬に引っ張られて歩く散歩、苦痛ではないですか?実は犬だって、苦しい!1. 犬って、引っ張るのがあたり前?!「犬に引っ張られて歩くのが、犬の散歩でしょ?」と、グイグイ犬に引っ張られて歩いていてもちっとも苦痛ではない人がいます。モデルの柴犬ミックスまいちゃんの飼い主、佐々木俊子さんのご主人も「引っ張られても平気派」。 でも妻の俊子さんは、「私はまいの散歩が苦痛です。引っ張られて大変ですから」と。多くの人は俊子さんのように「引っ張られるのが苦痛派」ではないでしょうか?俊子さんは、まいちゃんとリードをゆるめて歩く練習を始めました。半年練習をした結果が画像の通り。まいちゃんは俊子さんの左側について、リードがゆるんだ状態で(つまり飼い主を引っ張られないで)歩けるようになりました。練習さえすれば、どんな犬も飼い主を引っ張らないで歩けるようになるものです。これから何回かに分けて、どんな犬でも誰でもできる失敗しない犬と楽しく歩くための練習方法をご紹介していきたいと思います。2. まずは犬の歩く位置を決めましょう犬と歩くときの基本には2つあります。その一つは、犬があなたと歩くときの位置を決めてあげることです。あなたの体の左側か右側で、いつも犬を歩かせるようにするのです。一般的にはあなたの体の左側で犬を歩かせる方が犬をコントロールしやすいのですが、右側のほうが楽な人は右側でもかまいません。(モデルのまいちゃんは左側につけています)どちらかの側に犬を歩かせることを決めたら、その側でいつも犬が歩けるよう心がけることが大切です。(犬を左側につける練習は次の機会に詳しくご紹介します)あなたの前後左右にと、犬が好き勝手に場所を移動しながら歩くことを放置していると、人間との歩き方を犬に教えにくく、犬も人間といっしょに歩くときのルールを覚えられなくなるのです。(ただし犬を好き勝手に歩かせてもいいときは、自由にしていいのですよ!)3. リードはゆるめて歩きます犬と歩くときの基本の二つ目が、リードをゆるめて歩くことです。「リードをゆるめて歩きましょう」と言っても、ピーンと来ない人が案外多いのですが、あなたもそうですか?画像のモデルのまいちゃんを見てください。リードはかなり伸ばして歩いていますが、ピーンと張っていませんよね?たるんでいるでしょ?これが「リードをゆるめて歩く」こと。具体的には、リードを長く持とうが短く持とうが、それには関係なく、首輪につけたリードのナスカン部分からあなたの手までの距離のリードが、いつもゆるませて歩くということです。ここがピーンと張っていたら、犬があなたを引っ張って歩いている証拠。ここがゆるんでいたら、あなたを引っ張らずに歩いているということです。4. 「だって犬が、勝手に引っ張るの」ですって?「リードをゆるめて歩く」と簡単に言うけれど、犬が勝手に引っ張ってしまうのだもの!と嘆いている人、ちょっと待って。犬だってこう言っています。「飼い主が引っ張るから首が苦しくて苦しくて、だから飼い主から逃げたいのさ」って。 犬がリードを引っ張ると、首輪が引っ張られて首が苦しくなります。そこで、あなたから逃れようとさらに前に行こうとしてリードを引っ張るのです。そんなときにあなたが引っ張られながらいっしょに前に進むと、犬はますます首が苦しくて、あなたから逃げようとリードを引っ張り、あなたと犬はまるで永遠に終わらない綱引きをしているようになります。これでは犬の散歩が苦痛になっても当然です。ひどいときは、そのために前足を浮かしたように前身を浮かしながら歩くしかない犬もいます。この姿勢は犬が「攻撃」をするときにとても似ているので、他の犬が見たらギョッとします。これが原因で犬同士の喧嘩に発展するときもあります。だから、とにかく犬の首をしめないように、「リードをゆるめて歩く」ことがとてもとても大切なのです。

2023.09.04

ドッグライフアドバイス

PART1 犬と楽しく外出しましょう(8)

PART1(8) 犬と楽しく歩くための最初の第一歩リードをゆるめて歩く練習をしてみましょう!1. 「さあ、行くよ」と声をかけて練習開始ですさあ、では犬と歩く最初の第一歩、「リードをゆるめて歩く」練習をしましょう。その前にまずは、練習をする場所のこと。最初の第一歩の練習はリードを全部伸ばしてするほうが犬にわかりやすいので、周りに迷惑のかからない広い場所を選びましょう。次に「リードをゆるめて歩くよ」という意味を、あなたと愛犬の共通言語として、合図の言葉を決めましょう。私の教室では「さあ、行くよ」あるいは「レッツゴー」と決めるクライアントが多いのですが、家族全員が使える言葉なら、なんでもいいでしょう。では練習開始。「さあ、行くよ」と声をかけます。そしてリードを全部伸ばして歩き始めます。2. 犬が引っ張ったら、練習の合図ですすぐに犬はあなたを引っ張りますね!ええ、そうですとも。リードはピーンと張った状態ですよね。この状態になったら、練習ができます。ピーンと張ったリードを、どうやってゆるめるか、それをあなたが考えるのです。ただしリードをゆるませようとして、次のようなことをしてはなりません。その一つは意識的にあなたが力まかせにリードを引っ張ること。二つ目は犬に引っ張られるままに、犬といっしょに進むこと。三つ目は犬を叱ること。さあ、それでは他にどうやってリードをゆるめることができるでしょうか? 3. 電信柱になりましょうあなたがすることは、たった一つです。電信柱になることです。犬がどんなに引っ張っても、引きずられないように、そしてリードをわざと引っ張らないで、ただもう、その場で立ち止まっています。リードをそのまましっかりと握っているだけです。電信柱ですから、しゃべることも犬に話しかけることもしませんよ!大型犬など力の強い犬で、あなたが立ち止まって踏ん張っても引っ張られてしまうなら、家族と腕を組んで犬の力に負けないように練習するか、訓練用のカラーを使用して練習するといいでしょう。(犬に力負けしてしまう場合の練習は、次の機会に詳しくご紹介します)4. ひたすら待ちますそのままの状態で、ひたすら待ちます。何を、ですって?!犬が「前に進めない」と気付いて前進しようとする力を抜くか、この状態にあきるか、この状態をなんとかしたくてあなたの方を見るか・・・理由はともあれ、リードがゆるむのを待つのです。それまであなたは電信柱に徹します。5. リードがゆるんだら、そばへ犬を来させますそのうち、なんらかの理由で犬のリードがわずかですが、ゆるみます。(犬がこの状態にあきてあなたに振り向くか、地面のにおいをかぐか、座りこむか、いろいろですが、そんなときにわずかにリードがゆるみます。なおこんなに待てない場合の練習方法は、またの機会にご紹介します)この瞬間が、教えどきです。リードがわずかでもゆるんだら、すかさず、あなたは楽しそうなトーンで犬の名前を呼んだり、楽しい声を犬にかけたり、ピヨピヨとなるボールを鳴らしたりして、犬があなたのそばへ、しかも左側に来るように仕向けます。そうするとほら、犬があなたの方に向ってくると、もっとリードがゆるむでしょ!このとき長く伸ばしていたリードを、そばに来る犬の歩調にあわせながら、なるべく犬があなたの左側に来るように、リードをたくしながら短くしていくと、確実にあなたの体の左側にリードがゆるんだ状態で犬が来ます。(リードを無理に引っ張ってそばに来させないでね)6. 左側に来て、リードがゆるんだら歩き始めます犬があなたの体の左側に来て、リードがゆるんでいますね。犬を落ちつかせるために、すぐには歩きはじめないで、その状態で一呼吸待ちます。こうしてまた(5)に戻り、(10)までのことを繰り返し練習します。7. 根気よく続け、そして待ってあげる練習ちっとも前に進めないと、ため息をつくあなたかもしれませんね。でも、がんばってください。散歩以外の時間でも、1日何度でも何度でも練習しましょう。1回の練習時間は、犬よりあなたの根気が続かないでしょうから、せいぜい5分~10分ぐらいでしょうか。練習を重ねていくうちに、犬は自然に理解します。「首が苦しくなったら、飼い主のそばに行けば楽になり、しかも前に歩ける」と。こうして犬は「首が苦しくないよう歩いていれば、前に進める」と自主的に飼い主を引っ張らないで歩くようになります。この練習はあなたにとって、根気のいる辛気臭い練習かもしれません。でも犬の首を締めて苦痛が伴うストレスを与えながら教える方法より、ずっと犬にやさしく、あなたの犬を扱う技術もいらず、しかもどんな性格の犬も、どんな年齢の犬でも、楽しく学習できるため、家庭犬とその家族にとっては、失敗しない練習方法です。なお(8)と(9)で、ひたすら犬が気付くのを待つ方法だけで学習した犬は、自主的に学習したので、覚えたらしっかりと身につけられるようになります。この練習を高度にしていくと、あなたが立ち止まるだけで、犬は自らあなたの体の左側に戻って待ち、あなたが望むのなら「おすわり」をして待ち、あなたが「さあ、行くよ」と合図を出すとリードがゆるんだ状態で、あなたといっしょに歩く犬になります。

2023.10.11

ドッグライフアドバイス

PART1(9) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(9) 犬と一緒に歩く基本       犬をあなたの左側につけて歩きましょう1. 小さなサイズのワンちゃんも練習しましょう  犬と歩く基本は、2つ。   前回ご紹介した「リードをゆるめて歩く」ことと、そして今回ご紹介する「犬を左側につけて歩く」こと。あなた  が「ついて」と愛犬に指示をしたら、愛犬はあなたの体の左側でリードがゆるんだ状態で歩くことを教えることで  す。ただし訓練競技会に出場するわけではありませんので、犬がつく位置はあまり厳密に考えないで、あなたが愛犬  を管理できる範囲内の左側にいてくれるよう教えます。    この2つの基本ができたら、とても楽に犬と散歩ができるばかりか、愛犬の管理ができるので犬自身の安全をあな  たが守ってあげることができます。  大型犬はもちろんのこと、小さなサイズの犬にもぜひ教えてあげたいものです。というのも、小型犬は体が小さく、  体高が低くて、動きが早いので、あなたが犬の動きをよく見ることができず、気がつかないうちに、つい踏んづけた  り、蹴ってしまったり・・・身に覚えはありませんか?これでは犬だって怖くて、あなたから離れようとリードを引  っ張る原因にもなります。そればかりか、そばを通る自転車や車に跳ねられる危険もあります。ですから愛犬を守る  ためにもぜひ教えてあげて。  今回はキャバリア・キングチャールズ・スパニエルの大井チェリーちゃんとT・プードルのエンビ君にモデルになっ  てもらい、実際の練習方法をご紹介したいと思います。2. 最初の第一歩は食べ物で釣りながら、人間の左側につくことを犬に教えます。   誰でも簡単に左側につくことを犬に教えられるのが、食べ物を持った手でニ  ンジンを前にして走る馬のように、犬を食べ物で釣 りながら犬の動きをコント  ロールして教えていくことです。この方法だと犬は喜び、あなたも楽しく教え  ていけます。ですから練習をする前に愛犬が大好きなフード(市販の犬用おや  つや、ササミをボイルした手作りフードなど)を、画像のように小さく切って  用意しましょう。フードの大きさをよく見てください。小さく切って与えるこ  とで、何度でも練習できます。  肥満予防のために、トレーニングに使えるフード(ドッグフードでもかまいま  せん!)は、1日の摂取エネルギーの10%と言われていますので、与えすぎ  に注意が必要です。  この他バージョンアップの練習用に、愛犬の気を引く「ピヨピヨ」と鳴るオモ  チャ(愛犬がすぐ反応する音のするオモチャ)を、ポケットの中に入れておい  てください。ただしオモチャの音がニガテな犬はフードだけで練習します。  この2つを使って、楽しく、犬をあなたの左側につける練習をしてみましょ  う。3. その前にフードの持ち方にご用心  これではあなたがフードを持っていることが犬にわかりずらいため、練習が思  うようにできない原因です。指でフードをつまんだ状態だと、指の外にはみ出した部分を食べようとして、あなたの指に牙が当って指を傷つけます。指と指の腹ではさんで、フードの端っこが手の外に出ないよう、フード全部があなたの指の中に入るよう持ちます。こうすると犬がフードを食べるとき、あなたの指が犬の歯に当るため、犬は無意識のうちに力を抜いて食べてくれます。4. 犬を左につける最初の第一歩の練習  最初は、室内でリードをつけないで(オフリード)練習してみましょう。(1) まず犬の鼻先にフードを持っていき、匂いをかがせます。どうでしょうか?  これで愛犬が欲しがったり、フードを持った指を舐めようとしたら、練習開  始の合図です。  フードを持った手を画像のように、犬があなたの左側に来るように動かしま  す。無言でやってください。フードを持つ手の位置にご用心!高すぎると犬は飛びつき前に進めず、低すぎると首が下がって犬が歩きにくくなります。フードを持った手の位置は、あくまで犬の鼻の高さをキープしながら、ゆっくりと動かしてくださいね。(2) 犬が動きはじめたら、すぐにあなたは左足を画像のように後ろに移動させな  がら体を横向きに大きく開くことで、犬を左側へと誘導していきます。  (注意)体の長さが長い犬種や大型犬は、あなたが十分に体を横に向けてフ   ードを持った手を後ろへ移動させないと次のUターンがうまくできません。   どうしてもうまく行かない場合は、犬をあなたの後ろから回して左につけて   もいいでしょう。(3) 犬がUターンして、前に歩けるくらいまでの十分な距離をとって後ろへ歩か  せたら、画像のように今度は犬が前進できるよう、フードを持った手を移動  させます。それと同時にあなたの左足と体を正面に戻します。(4) 正面で両足をそろえた位置に犬が来たら、誘導していたフードを持った手を  止めます。そして号令を言います。「ついて」と。そしてほめ言葉を言いな  がら、手にもったフードを与えます。ここがいつもあなたと犬が並んで歩く  ときの、犬のいる場所です手を止める場所に気をつけて。なるべくあなたの両足より前に犬の体が出ない位置で、手を止めてください。手を止めた位置が前過ぎると犬はフードにつられてあなたの体よりうんと前に来てしまいます。この位置では犬が管理しずらくなりますから、要注意です。5. 犬を左につけるバージョンアップの練習  リードは右手で、フードは左手で持ってと、左右どちらかにそれぞれ持って練習すると、リードが犬にからまず上手  にフードを持った手で犬を誘導して行けます。(画像モデルの大井さんはリードは右手、フードは左手に持って練習  しています)。練習しながら自分のやりやすいように、左右の手にどちらを持つか決めるといいでしょう。(1)まず犬を左につけて並んで、「さあ行くよ」と合図をしてから歩き出します。(2) リードがゆるんでいても、練習のためにあなたはわざといきなり立ち止まり  ます。そして電信柱になり、リードが張った状態にします。(3) リードがゆるむまで待てない人は、犬の名前を呼んで、あなたの方に犬が来  るように誘導してリードがゆるむようにします。犬の名前より、おもちゃを鳴らした方が犬があなたに注目してそばに来る(リードもゆるむ)可能性が高い場合は、ポケットの中のオモチャを慣らします。(4) 犬があなたのところに来ると同時に左足を後ろに移動させ、体を横に開い  て、フードを持った手で犬を画像のように誘導させます。(5) フードを持った手で犬がUターンできるよう誘導します。犬をUターンさせるときのフードを持った手の動かし方(6) あなたと並んだ位置で手を止め、犬を静止させます。  「ついて」と号令を言って、ほめ言葉をかけた後にフードを与えます。この一連の練習は5回連続して繰り返して1クールと考えます。そして1日最低3クールを練習してみてください。

2023.10.12

ドッグライフアドバイス

PART1 (10) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(10) 犬と楽しく歩くバージョンアップの練習      リードが張ったら電信柱になり、リードがゆるんだら犬を左に誘導して      さあ並んで歩きましょう1. 2つのことを同時に練習してみましょう  犬と歩く基本のもう一つは、前回柴犬ミックスのまいちゃんをモデルにご紹介した、リードをゆるめて歩くこと。  この練習を続けるうちに、あなたの愛犬はリードが張ったらそれ以上あなたを引っ張ることをしないで、あなたの方  へと戻ってきます。その状態になる頃に、犬を左側に誘導して並んで歩くことを同時に教える練習をしてみましょ  う。  これによって、「さあ、行くよ」であなたを引っ張らずに左側で歩くようになり、しかも「ついて」と指示すると、  確実に左側の  位置について、リードをゆるめてあなたと並んで歩くようになります。そして練習を積み重ねるうち  に、リードが張ったらあなたが何も指示しなくても、あなたが止まり電信柱になるだけで、犬はあなたの左側に戻っ  て、並んで歩くようになります。  今回はその練習方法を、T・プードルのエンビ君をモデルにご紹介したいと思います。2. おもちゃとフードの用意は万全ですか?  練習する前に、犬の気持ちをひくために画像のような、手の中に入るほど小さ  な音がするオモチャを用意してください。おもちゃが手にあまるほど大きいと  練習しずらく、あなたが苦労します。ですから画像のような小さなものを用意  ください。3.さあ練習開始!(1) 犬を左につけて「さあ、行くよ」と指示して並んで歩きます。(2) 犬が前に歩いてリードを引きます。(3) あなたはその場で止まります。 (4) 張った状態のリードがゆるむまでずっと待っているか、それが時間的にで  きない人は、犬の名前を呼ぶか、音のなるおもちゃで犬をあなたの方へ向  かせてリードをゆるませます。(5) 犬があなたの方へ向いたら、あなたのところへ自主的に犬が来たがるよう  に、体をかがめてほめて励まします。(6) リードはひっぱらずに、犬が自主的に来るまで励まし続けます。(7) 音のなるおもちゃでさらに犬をそばへ来るよう誘いながら、あなたは左足  を後ろに移動させます。(8) 十分にUターンできる距離まで犬が来るようにおもちゃの音で犬を誘導し、  それから次は犬がUターンした後に正面に向くよう誘導します。(9) 犬が左側に来てあなたと並ぶ位置に来たら、「ついて」と犬に指示して、  あなたは正面に向いて両足をそろえます。犬を言葉でほめ、ごほうびのフ  ードを与えます。(10) 一呼吸そのままの状態で静止した後に、また最初の練習に戻って犬と歩き  出します。この一連の練習は連続5回を1クールとして、1日最低3回~5回練習してみましょう。練習回数が多いほど、犬は早くに覚えてくれます。一日も早く、愛犬と楽しく歩ける散歩ができますように!

2023.10.13

ドッグライフアドバイス

PART1 (11) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(11) 散歩で排泄させるときのリードの使い方1. そこは、排泄してもいい場所ですか?   あなたの犬は、散歩中にどこででもおしっこをしたがりませんか?困りますよね。他人の玄関先や駐車場や花壇、  公園の砂場や花壇などなど、犬が勝手におしっこをひっかけたら迷惑がかかる場所は多いものです。だからこんなと  きは、リードを短く持って歩きましょう。だらしなくずっとリードをのばしたまま散歩をすると、犬は必ずあちこち  で排泄してしまいます。2. 生理的排泄行動とマーキングはちがいます   おしっこをがまんさせるのは、かわいそう?いいえ、そんなことはありません。特に雄犬では顕著ですが、生理的  な排泄行動と犬の楽しみである「社交行動」のマーキングと、犬の排泄には二つの意味があります。散歩前に自宅で  排泄をすませた犬なら、散歩中に足を上げておしっこをひっかけるのはほとんどがマーキング行動です。他人に迷惑  がかかる場所では、がまんさせるべきでしょう。散歩中に排泄させるのであれば、してもいい場所で十分におしっこ  をさせた後は、やはり他人に迷惑のかかる場所ではリードを短く持って排泄させないように歩きましょう。3. 「いいよ」の言葉で、排泄もマーキングも1~3箇所程度で終わらせたいもの   ただ愛犬にずっとがまんだけさせるのは、ちょっとかわいそう。散歩は「社交の喜び」があるから犬は大好きなの  です。そこでマーキングをさせてもいい場所に来たら、愛犬に「いいよ」と許可の言葉をかけて画像のように、犬に  マーキングを 許してあげるといいでしょう。ただし許可する場所が多いほどマーキングはくせになるので、ほどほど  に。できれば許可する場所は3箇所程度にしたいものです。(1) マーキングや排泄をしてもいい場所に着くまで、リードは短く持って歩きます。(2) していい場所に来たら、「いいよ」と愛犬に声をかけながらリードを全部ゆるめます。(3) 愛犬に好きなだけ匂いをかがせて、マーキングや排泄をさせます。(4) ひとしきりマーキングをし終わって愛犬が満足したら、名前を呼びながらリードを短く持って歩き始めます。(5) 愛犬があなたといっしょに歩き始めたら、ほめ言葉をかけてあげましょう。4. こんな場所、こんなときは要注意 (1) 自宅の玄関先で愛犬におしっこをさせると、確実に他犬もします。そして次はまたあなたの犬が・・・と終わり    のない排泄場所となりますから、散歩に出かけたらできるだけ自宅から離れた場所までリードを短く持って歩き    ましょう。  (2) 草むら、電信柱、他の犬のおしっこのかかった所は、マーキングの誘惑にかられる場所ですから、回避してくだ    さい。 (3) 雨上がりは特に地面からの匂いが立ち、嗅覚のするどい犬はマーキングをしたくてたまりません。ですから雨あ    がりの散歩は晴れの日よりもうんと気をつけて、他人に迷惑がかかりそうな場所ではリードを短く持って歩きた    いものです。5. ウンチをした後は、リードを短くして後始末をします   愛犬のウンチの後始末、ちゃんとしていますか?最近では土に埋めるスタイルは迷惑がかかるため、必ず袋などで  ウンチ取って自宅で処分しましょう。ウンチの後始末中に案外忘れがちなのが、愛犬の管理です。画像のようにし  て、愛犬を管理しながらウンチの後始末をすると、他人や他犬の迷惑にならず愛犬の安全も確保できます。 (1) なるべくあなたのそばに愛犬を置き、リードを手に持つだけでなく、犬が自由に動けないように、リードを足で踏ん   で犬を管理します。   活発な犬なら、足の甲にリードを一回りさせてから踏んでいると確実です。 (2) ちゃんとお座りができる犬なら、犬が座った状態で短くリードを持ちながら、ウンチの後始末をするのもいいで   しょう。

2023.10.16

ドッグライフアドバイス

PART1 (12) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(12) 散歩中に人とすれちがうとき、他犬とすれちがうとき1. 人とすれちがうときは、リードは短く  散歩中に向こう側から人が歩いてくるときは、リードを短く持ち直しましょう。こうすると迷惑になりません。 (1) 愛犬の名前をやさしく呼ぶと、あなたのほうに注目してくれます。こうなると犬を強制的にそばに来させる    ためにリードを引っ張ることなく、スムーズにリードを短く持ちなおせます。この状態で人とすれちがうと、    何のトラブルも生じませんね。(愛犬の名前を呼ぶとあなたに注目してくれるコツ)・ 「犬の名前」を呼ぶ。・ 犬がどんなことをしていても関係なく、すぐにごほうびのフードを与える。・ 「犬の名前」を呼ぶ→ごほうびのフードを与える、これを連続5回行います。・ 上記を毎日練習します。・ このほか日常生活で気をつけてほしいことは、愛犬が好きなことをするときだけ「犬の名前」を呼び、嫌いなこ  とをするときは犬の名前は決して呼ばないで行うようにしましょう。2. 他の犬とすれちがうときは、フードで誘導して迂回しましょう  散歩中に、知らない犬とすれちがわなければならないときがよくあります。こんなときはお互いトラブルを起こさな  いよう、さりげなくすれちがいたいものです。方法はさまざまありますが、ここではドッグトレーニングに縁のない  犬でも比較的簡単にトラブルを起こさないですれちがうことができる方法をご紹介します。(1) お互い、リードは短く持ち直します。(2) 柴犬ミックスのまいちゃんに注目ください。リードは短くしていてもゆるめたままで、相手の犬とすれちがう前に、  ごほうび用のフードを鼻に近づけながらまいちゃんを脇へと移動させます。(3) 犬を移動させる方向は、相手の犬からなるべく遠く、他の人々に迷惑にならない場所であればどの方向でもいい  でしょう。その際大切なことは、犬をゆっくりと移動させることです。ゆっくり歩くことは相手の犬を安心させ  るボディランゲージなのです。そのためにもフードを持った手は、ゆっくり移動させることがコツです。(4) 画像のように相手の犬を迂回するような移動方向は、犬をなだめるボディランゲージの一つです。これでさらに  相手の犬を安心させることができます。(5) 相手との距離が十分に離れた段階で、歩いていたコースに戻るようまいちゃんをフードで誘導しながら、手に  持ったフードを歩きながら与えてしまいます。(6) 上手に誘導されたまいちゃんにほめ言葉をかけて、さあまた散歩の再開です。★ 次回からは散歩中のトラブル、たとえば他犬に吠える、猫を追いかける、犬の力に負けて歩けない、座り込みス  トライキをするなど、困りごとの解決方法をご紹介していきます。ご期待ください。

2023.10.17

ドッグライフアドバイス

PART1 (13) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(13) 犬の力が苦痛な人へ。犬の引っ張る力から身を守りましょう1. 大型犬との散歩、苦痛ではありませんか?  大型犬の飼い主の多くは、散歩のときに愛犬に引っ張られて苦痛を感じていることでしょう。そればかりか、散歩中に  転倒したり骨折したりする人も決して少なくありません。あなたも体験者でしょうか?今回はそんなあなたのために、  ドッグトレーニングに縁がなくてもすぐに使える、愛犬の力から身を守る散歩の工夫をご紹介しましょう。  今回のモデルは上村道代さん(静岡県静岡市在住)とラブラドール・レトリバーの愛犬ロダン君。地元の小学校などで  動物愛護の精神を伝える「愛護教室」にボランティアで参加しています。大型犬との暮らしに慣れている上村さんとおり  こうなロダン君ですが、それでも散歩中のロダン君のとっさの飛び出し(猫に目がないのです!)には神経を使う上村さ  んです。何しろ体重35キロの足長ロダン君は、気がやさしくて力持ち。女の力では少々手こずることもあるため、上村  さんはいつも色んな工夫をしながらロダン君と散歩に出かけています。2. 軍手は必需品  もしあなたの愛犬が訓練用ではない一般の首輪で散歩をするのであれば、何よりもあなたに必要なのは、軍手です。  特に犬を扱うのには最適なナイロンリードを使っている人は、犬のとっさの動きで手に摩擦が起きて、ひどいときは  やけどを負うことがあります。だから軍手であなたの手を保護しましょう。3. 皮製リードは手にやさしい  訓練用ではない一般の首輪を使用すると、どうしても犬の引っ張る力がもろあなたの手と体に衝撃を与えるため、手を  傷めることがよくあります。皮製のリードは他の素材に比べあなたの手にやさしいので、おすすめしたいところ。ただ  しナイロンリードに比べ、愛犬をコントロールするとき、リードが手の中でかさ張ってコントロールしにくい欠点があ  ります。特に使い始めがそうですが、使い込んでいくほど手になじむようになり、欠点は感じなくなります。なお皮製  は他の素材よりダントツに犬が食べたくなる(!)素材ですから、他の製品に比べ値段が高いこともあり、くれぐれも  齧られないようご用心ください4. 犬の気を引くものを持参しましょう  どんなに性能の良い訓練用の首輪を使っても、あなたが犬の気持ち(犬は行動や動きでそれを表現しています)をいち  早く管理できなければ、それはただの首輪にすぎません。むしろそんな使い方をするのなら、一般の首輪のほうが犬に  とって害は少ないでしょう。ですから散歩のときは、どんな首輪を使用していても、あなたの身を愛犬の力から守るた  めに、必ず愛犬の気を引くグッズ類を持っていましょう。たとえば大好きな食べ物、ボール、音が鳴るオモチャなど。  それらの使い方は、このコーナーのPART1(9)~(12)でご紹介してありますので参考にしてください。5. リードの持ち方を工夫してみましょう  愛犬が突進しそうなとき、あるいはどうしても愛犬の力に体が引っ張られて危険な散歩になりそうなときに工夫したい  のがリードの持ち方です。リードはただ手に持って、だらしなく伸ばせば伸ばすほど犬の力はあなたの体を直撃し、テ  コの原理よろしく倍増します。ですからもう少しあなたが楽になり、あなたの身を守るために、リードの持ち方を工夫  してみましょう。ここでは誰もが簡単にマネができる工夫を2つご紹介したいと思います。・ 1,8メートル程度の長めのリードをあなたの腰の後ろに回してから両手で持って歩くことで、あなたの体全体で犬の         前へ引っ張る力を緩和させることができます。いきなり愛犬が突進しそうなときも、踏ん張ることができます。・ 1,8メートル程度の長めのリードを、画像のように犬の胸板で二重にします。         画像では訓練用のヘッドカラーを使用していますが、一般の首輪をつけているときに活用するといいでしょう。・ リードの両端を片手で持って歩いても、これなら犬を管理しやすくなります。犬の引きが強いときは、両手でそれぞれ        のリードの両端を持って歩くと、犬の胸板にリードを回した分、犬の前に引っ張る力が緩和されます。なお歩いている        うちに、胸板に当てたリードがだんだん上にずれて犬の首にかかることがあります。これでは効果がないばかりか、犬        は首を圧迫され苦しくなりますます引っ張るようになりますから、常に犬の胸板にリードが当てられているか確認しな        がら歩くか、滑りにくい皮製リードを使用するといいでしょう。

2023.10.18

ドッグライフアドバイス

PART1 (14) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(14) 犬の力が苦痛な人へ。訓練用のカラーやハーネスを使いこなしましょう1. 犬の力に負けてしまう人にはぜひおすすめの道具です 大型犬の場合、訓練用の特殊なカラー(首輪)やハーネス(胴輪)をつけて散歩に出ると、おどろくほど愛犬の力に 引っ張られずに散歩ができます。下記の画像、一般の首輪と訓練用のヘッドカラーを装着して歩く上村さんとロダン 君を比較してみてください!一般の首輪を装着されたロダン君。こんな状態では上村さんが滑って転びそう。そしてロダン君の自由行動は周りの人々に迷惑!訓練用のヘッドカラーを装着して歩くロダン君と余裕の顔の上村です。リードも片手で持てるほど。ロダン君の表情を見て!幸せそうに笑っています。2. どんな犬にも、飼い主にもおすすめできるものは?  大型犬だろうが小型犬だろうがどんな性格の犬だろうが、どんな飼い主であろうが、犬の力に負けて散歩が  苦痛!犬の首が絞まるのがかわいそう!と訴える飼い主に私が迷わずお勧めするものがあります。今回はそ  のうちの2つをあなたにご紹介したいと思います。  ジェントル・リーダー(ペットショップなどで市販されています)とイージーウオーク・ハーネス(最新の  道具です。必要な方はhttp://www.finephoebe.com/でお求めください)です。  これらをおすすめする理由は、犬に苦痛を与えないで使える道具であり、怖がりや神経質な犬でも性格を暗く  させないで使える道具であり、運動神経に自信のない人も、ドッグトレーニングの技術があまりない人にも失  敗なく使え、犬のサイズも年齢も問わないで使えるためです。3. どのようなタイプであっても使用上の注意を守ってください  とは言え、ここでご紹介するカラーとハーネスであっても、またどのような訓練用のタイプのものであっても、  訓練用と名のつくカラーやハーネスは、一般のそれとは異なり、犬が動くと犬の体を締めつけたり、犬が前に  動けない作りになっています。ですから使用上の注意をよく守り、できればドッグトレーナーやインストラク  ターから使い方と歩き方を教えてもらい、犬に不要な苦痛を与えず効果的に使いこなしてほしいと思います。  また愛犬のそばにあなたがいないとき(犬だけが係留されている場合など)や、やんちゃな遊びやドッグスポ  ーツをするときや、激しい動きをさせるときなどは、一般の首輪につけかえることが、愛犬を不要な苦痛や危  険から守るとても重要なことですので、こまめに状況に応じて、一般の首輪と訓練用につけかえる手間を惜し  まないことも大切です。4. いち押しおすすめはヘッドカラーのジェントル・リーダー  これはヘッドカラーの1種類です。ヘッドカラーにはいくつかのタイプがありますが、おすすめするジェントル  ・リーダーはマズルの部分、そして頭の後ろ(限りなく耳の生え際)の2箇所に装着させて使用するものです。  他のヘッドカラーは首に装着しますが、ジェントル・リーダーはあくまで頭の後ろ。これがおすすめする大きな  理由です。 このように犬の頭(限りなく耳の生え際)に指1本入らないほどぴったりと装着することで、犬の体を前に押し出す 効果があります。そして犬はその力がかかると自然に後ろへ戻そうとする力を出し、これによって前にひっぱる力を 自然に苦痛を感じないで緩和させることができるため、大半の家庭犬の怖がりや神経質な性格の犬にも違和感なく使 えます。5. 仕様どおりに装着させましょう  ジェントリ・リーダーは装着の仕方が間違っていると違和感が強く、犬はジェントリ・リーダーをはずそうと躍起  になってしまいます。装着が仕様どおりであれば、慣れやすく問題も解消されます。装着は厳密にしましょう。  マズル部分の装着状態です  きつく装着するのではなく、画像のように、犬の鼻まで下がるほどの緩みをもたせて装着するのが正しい装着法  です。  頭の後ろ部分の装着具合です。耳の生え際部分でピッタリと、指1本入らないほどきつく装着するのが正しい方法  です。6. 次におすすめなのが、装着が簡単なイジーウオークー・ハーネス  リードを胸の部分でつなぐのがポイントのイージーウオークー・ハーネスは、胴輪タイプの訓練用で装着が簡単な  引っ張り防止になっています。モデルはTプードルの大井エンビ君。小型犬で引っ張る力が強くて、犬の首が心配  という人にもおすすめしたい道具です。  犬の力に負けないはずの小型犬でも、リードを引っ張って歩くと犬の首が心配になるものです。犬の首に圧を   かけ続けると犬の 脳に支障がでると警告する獣医師もいます。まだ発売されて新しいこの訓練用の胴輪は、ジェントル・リーダーの装着が困難な犬やマズルが扁平で使用できない犬種 (たとえばブルドッグなど)、犬と歩く練習が何らかの理由で思うようにできない人、マズルをどうしても擦らせてしまう人向きです。7. リードを引かないで!  どちらを使うときにももっとも大切なことは、あなたから絶対にリードを故意に強く引かないことです。そんなこと  をしなくても、立ち止まるだけで犬は前に進めません。それどころかあなたが故意に強くリードをひっぱると犬に苦  痛を与えてしまい、苦痛から逃れようとますます犬は前に引っ張ろうとします。ですから絶対に強く引っ張らないで  ください。  歩き方のコツは(8)~(10)でご紹介したとおりです。犬が引っ張る前に犬の気を引くことをして(名前を呼ん  だり、音を鳴らしたり)、前に行こうとする犬の力を緩和させてから、そのまま立ち止まります。犬はそれ以上前に  行けなくなります。それからリードが緩むのを待って、歩き始めることを繰り返すようにします。一般の首輪と比べ、  ほとんど力がいらず散歩が楽になります。あなたも試してみませんか?

2023.10.20

ドッグライフアドバイス

PART1 (15) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(15) 散歩中に困ること、どう対応しましょうか?1. 他犬に吠える  知らない犬を見たら、吠える犬…飼い主としてはホントにいやになっちゃう。「どうしてうちのコは、こんなにおば  かさんなの?」って、内心、愛犬が嫌いになりませんか?もっともな、感情です。  でもちょっと、待って。あなたの犬は「これ以上近づくな!」「近づきすぎ!」「あっちへ行って!」と、相手に  警告を発しているのかもしれませんよ。  ● こんなときは、あなたは黙っていること。リードをわざと引っ張ったり犬を叱ったりしないで、ただ黙ってその場に    立って吠え止むのを待ちましょう。  ● 吠え止んで、愛犬が落ち着いたら、また散歩を続けます。それだけです。  ● もし可能なら、吠えている愛犬を、相手の犬からもっと離れた場所に連れて行き(このほうが早く吠えやみますから)    落ち着くのを待って、吠えやんだら散歩の続きをしましょう。  ● もしこんな愛犬の吠えを矯正したいなら、どうぞ「家庭犬のしつけ方教室」の門をたたいてください。2. 他人に吠える  犬は一般的に下記のような人間がにがてです。犬によってはこんな人に会ったときに「近づかないで!」と吠えてしまうかも  しれません。  ●やんちゃな子供●男性●制服姿●大声や歓声をあげる人●走り寄って来る人●まっすぐに犬に近づく人●たくさんの人間が  寄ってくるとき●その犬にとって初めて見るファッションや動作をする人々●過去にその犬が怖い目に合わされた人とその人  に似た人●こわごわ犬に近づく人…などなど。これに加えて、普段あまり人間の姿を見ることがない犬は、どうしても他人に  対して警戒心が強くなるものです。原因の大半は犬の社会化不足と言えます。  ● 原因を根本的に解決するには、専門家のコーチの元で犬のトレーニングを必要とします  ● そうでないなら、他の犬に吠えると同じ対応でその場をやりすごしてください。  ● なお吠えている愛犬を、わざと相手に近づけないでくださいね。よけいに吠えますよ。3. 座り込んで動かない  あらあら…上村ロダン君のような体重の重い犬が道端で座り込んでしまったら、どんなに力持ちの人だって、力で犬を立たせて  散歩の続きをすることはできません。画像のように犬を引っ張って動かそうとすると、よけいに犬は踏ん張って動きません。  ● こんなときは、犬が歩き始めるまで待ってあげてください。これが一番害のない方法です。  ● エッ?そんなに待てないですって?では力を使わず犬を立たせる方法を考えて見ましょう。音のするおもちゃを鳴らしてみ  ますか。それに誘われて立てば、歩きだします。  ● 犬の鼻に食べ物を近づけてみましょうか。どうでしょう?食べ物につられて立ち上がったら、馬をにんじんで釣るように、  そのまま犬を歩かせましょう。  ● どれも効果がないようなら、仕方ありません。座っている姿勢を崩す方法を考えましょう。歩いて来た方向と反対方向へと  黙って歩いてみてください。これでお座りのバランスが崩れて立ち上がったら、歩き始めるでしょう。あるいは犬のお腹の  下にそっと足を入れて、軽くお腹を持ち上げるように触ってください。びっくりして立ち上がるかもしれません。  ● それでもダメ?それなら「家庭犬のしつけ方教室」に犬とお勉強に通いましょう。4. 拾い食い  散歩中、地面に落ちている物を拾い食いして、下痢をしたり開腹手術をしたりした体験を持つ犬は決してめずらしくありま  せん。あなたの犬もそうですか?

2023.10.23

ドッグライフアドバイス

PART1 (16) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(16) 散歩中に困ること、どう対応しましょうか?1. 自転車や猫を見たら、いきなり追いかけようとする  ある種の犬は狩猟本能が強くて、動くものを見たら追いかけようとします。それが人間から見ると、突然リードを引っ  張ってあら ぬ方向へと犬が突進していくように見えるのです。自転車、猫、風に飛ばされるビニール袋などなど…大  型犬がそんなものをいちいち散歩中に獲物とまちがえて追いかけようとしたら、飼い主の体はいくつあっても足りませ  ん。  ● 対策の最初は13話、14話でご紹介した、道具を使うことです。  ● 次に8話から11話でご紹介した歩き方の練習と、リードの使い方を身につけて、リードを短く持って歩くことです。  ● もし自分の犬が何を追いかけるかわかっているのなら、散歩中はいつも犬より先に獲物を見つけて、犬が追いかける前  にその場を回避するか、追いかける前に引っ張られないようリードを腰に巻いて体をもっていかれないよう準備し、事  が起きても終わるまでその場で立ち止まっていることです。  ● それでも苦痛を感じる人は、やはり「家庭犬のしつけ方教室」に犬と通うことをおすすめします。2. 犬を見たら遊びたがる  犬が大好きな犬はなぜか性格が良いと思われますが、社交性はあっても犬同士のマナーを知らない場合は、トラブル  メーカーの元凶の犬にもなってしまします。そうならないようむやみに愛犬を他犬に近づけないことが大切です。  またその反対に、犬がにがてな愛犬に犬を慣らしてやりたいという理由で、見知らぬ犬との接触をさせようとするこ  とは絶対にやめてください。  遊びたがる愛犬を、それ以上他犬に近づけないようリードを短く持って(画像では大型犬なので、リードを腰に巻いてい  ます)、その場で立ち止まります。 相手の犬が通り過ぎるまで、ひたすら立ち止まってその場にいます。そして相手の犬の姿が遠ざかって、愛犬が落  ち着いたら、再び散歩の続きをします。 犬を落ち着かせようとして声をかけたりすると、犬はもっと興奮して相手の犬のほうへ行きたがりますので、黙って  いてくださいね。3. 犬同士のごあいさつ、させますか?  「うちのコ、犬が大好きなんです」と散歩中に、犬同士のご挨拶をさせようとする人がいますが、ちょっと待って。犬  同士の相性もありますし、相手の犬は今体調が悪くて挨拶したくないかもしれませんし、犬が嫌いな犬かもしれません。  それに道端でそんなことをしたら、歩行者の迷惑になるかもしれません。ですから、むやみにご挨拶をさせないことです。  ● 犬同士を接触させるときは、まず周りの人々に迷惑にならないか確認してください。  ● 次に相手の犬の飼い主に、犬を近づけていいか必ず聞いてください。  ● 了解を得たら、相手の犬が先にあなたの犬のところへ来るまで、待ってください。  来ないようなら、たとえ相手の犬の飼い主が了解していても、もうその犬との接触はさせないでください。  ● もし相手の犬があなたの犬のそばに来たら、あなたは愛犬のリードを必ずゆるめて、自由にご挨拶させてやってくだ  さい。  ●犬の動きを見ながら、常に接触中はリードがゆるんだ状態でいてください。相手の犬も同じです。  ● もしこうした接触中に相手の犬が後ずさったり、唸ったりしたら、すぐにお互いの犬同士の距離を離してやって、それから  はその犬同士の接触は二度としないでください。  ● 犬同士の接触は、何かの拍子に噛みあいの喧嘩になることがあります。こんな体験を繰り返すと、犬はどんな犬に対して防  衛的な攻撃性を見せるようになることがあります。ですから犬同士の接触はくれぐれも注意が必要なのです。4. 散歩中に首輪が抜ける  何かの拍子に犬がパニックになって暴れ、それが原因で首輪が抜けてしまうことがあります。こうなったら犬が迷子になっ  たり、事故で命を落とす危険性が出てきます。  ● 犬が暴れて首輪が抜けそうなときは、まず飼い主は冷静になってください。  ● 次に、リードはとにかくできるだけ短く持ち直してください。  ● そして、犬の暴れている動きについていくように、リードは必ず緩め続けます。  ● 犬と引っ張りっこをするような状態、つまりリードがピーンと張った状態になると、犬と綱引きをするようになるため、    首輪が抜けます。リードは常にゆるませて。  ● パニックが納まるまでは、飼い主はよけいな刺激を与えないよう、犬に声をかけたりしないで黙ったままでいます。こ    うして嵐をやりすごします。  ● 可能なら、もと来た場所へと犬と帰ることで、パニックの沈静が早くなる場合があります。  ● なお散歩に出るときは、首輪は犬の首にピッタリ、指1本も入らないくらいピッタリに装着しなおして、出かけましょ     う。    ● 首輪ではどうしても不安な人は、胴輪を装着するのも手です。  ● 社会性が不足していることが、ちょっとしたことでパニックになる犬になっている原因です。それが原因で首輪が抜け    てしまう危険を根本から治したい人は「家庭犬のしつけ方教室」に通うことをおすすめします。

2023.10.24

ドッグライフアドバイス

PART1 (17) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(17) いつもの散歩道で犬にジャンプをさせて遊びましょう1. 犬とただ歩くだけの散歩ですか?  それはもったいない!ちょっと回りを見渡してみてください。愛犬と遊べることがいっぱいあります。散歩中に1つでも  やってみませんか?ただ歩くだけの散歩より、あなたも愛犬も心が弾み、犬の運動能力が高まるばかりか、あなたと愛犬  の絆もぐっと深くなります。最初にご紹介するのは、ドッグトレーニングに縁がない犬でも簡単にできるジャンプです。2. 散歩中の環境を活用します  関節などの持病がなく、老犬で足腰が弱っているのでなければ、大半の健康な犬はジャンプが大好き。恥ずかしがり屋の  性格の犬に自信をつけさせるために、また運動の質を高めて足腰を鍛えるためにと効果はいろいろですが、それより、と  にかく楽しい!  さて犬のジャンプというのは、上に跳ぶ(高跳び)ジャンプと、前に飛ぶ(幅跳び)ジャンプの2種類があります。どち  らも特別の道具は必要ありません。散歩中に見つけた車止めの鎖やポール、どぶの側溝など、いろんなものを活用して楽し  めます。3. どんな犬も側溝の前だと、幅跳びができます  これを教えるのは、とても簡単です。  犬はなぜか鉄の柵が敷いてあるどぶの側溝の上は、さけて歩こうとします。さけられないときは、側溝をまたぐようにして  幅跳びをします。この習性を利用して、側溝をさけられない、ジャンプしてまたぐしかない所に犬を連れてきて幅跳びをさ  せるというわけです。  A 側溝の上をまたぐしかない場所に愛犬を連れてきます  (注意)小型犬や足の短い犬は幅が狭くないと、ジャンプができません。愛犬が側溝をまたげず躊躇している場合は、幅が   広すぎるのかもしれません。  (注意)私の愛犬ワッハが幅跳びをするときは、画像の側溝程度の幅が限界です。これ以上幅が広いと、躊躇します。   愛犬に無理のない幅の側溝をさがしましょう。   B あなたは側溝をまたぐだけ  C 犬が側溝を幅跳びして渡るときに、 「ジャンプ!」と楽しい声をかけてやります。なおこのときリ ー ドは上に    ひっばらないで自然にたらして緩めた状態で持っていることが大切です。  D ジャンプし終わったら、愛犬をうんとほめてあげます。  なお画像のように地面がアスファルトの場合は着地時の衝撃が土に比べ大きいため、犬の骨や筋肉を傷める場合があります  から、愛犬の状態に応じて、ジャンプさせすぎないように配慮してあげてください。4. 高跳びをしてみましょう  上へと飛ぶ高跳びのジャンプは、犬には幅跳びより難しいものです。でも一度「飛ぶこと」に目覚めると爽快なのでしょう  か、やみつきになる犬もいるほどで、高跳びはストレス解消にもなり、また練習すれば障害物競技もできるようになります。  散歩中に車止めのバーや鎖の上を飛ばせてみましょう。5. 高跳びを教えるコツ  と言っても、残念ながらいきなり犬にバーを飛ばせようとすると、大半の犬はその下をくぐったり、バーをよけてしまうも  のです。確実に楽しんで高跳びができるように教えるには、コツがあります。  犬に高跳びをさせるときのバーの高さは、犬の体高までがもっとも無難です。体高とは、地面から愛犬の背中の上までの垂  直の高さのこと。画像の私の愛犬ワッハは、あと数センチ高いバーまで飛ばせられます。(もっと高く飛ぶこともできるワ  ッハですが、骨や筋肉を傷める原因になるので、体高以上は飛ばせないようにしています)  最初はとても低いバーを、幅跳びのときのようにあなたと愛犬で一緒にバーをまたぎます。またぐときに「ジャンプ!」と  楽しく声かけをしましょう。  それができたら、バーを少しだけ上げて、同じように一緒にバーをまたぎます。  今度は犬だけバーを飛ばせます。手かフードを持った手で画像のように犬を誘導して飛ばせます。犬がバーを飛んだら「ジ  ャンプ!」と楽しい声かけをします。  次は一緒にバーまで歩き、犬だけバーを飛ばせます。走ってバーまで行けば勢いがついて飛びやすいでしょう。犬が飛んだ  ら「ジャンプ!」と楽しく声をかけてやります。  犬をオフリードにさせられる場所なら、オフリードにしてあなたはその場に立ったまま、犬だけに「ジャンプ!」と言って  、バーを飛ばせましょう。こうして少しづつバーの高さを、愛犬の体高まで上げていって、高跳びを教えます。6. ジャンプの注意  ジャンプは犬にとって躍動的で爽快なのでとても楽しんでくれる遊びです。ただリトリバー種など遺伝的に股関節や関節な  どに問題が出そうな犬種は特に、遊びすぎて病気の引き金にならないよう、十分に注意してほしいものです。心配な人は獣  医師に相談してください。

2023.10.26

ドッグライフアドバイス

PART1 (18) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(18) いつもの散歩道でウエーブを描いて歩きましょう1. まっすぐ歩くのは人間だけ!?  一説では、道を目的地に向かってまっすぐ直進でいつも歩く動物は人間だけだといいます。そういえば、犬を自由に歩かせ  ると、あちこち匂いをかぎながら寄り道しながらジグザグの足跡を残していきますね。ただまっすぐ歩くことは、めったに  なさそうです。あなたと愛犬の散歩は、どんな歩き方でしょう。エッ?前進あるのみ、ですか。それならたまにはウエーブ  を描きながら、楽しく歩いてみませんか?散歩がおもしろくなり、人と犬の絆を深めるのにも役に立ちます。2. 遊びですから、楽しくね  ドッグトレーニングをしている人なら、愛犬とウエーブを描きながら歩くことが、結構難しいことを知っています。でもこ  こでは堅苦しい決まりは忘れて、散歩中にポールや車止めの棒が何本も立っている場所があったら、その間を、1本づつウ  エーブを描きながら犬と歩いていくには、どうすればできるか?それを遊び心でチャレンジしてみましょう。  愛犬を左側につけます  ポールの間をウェーブを描いて  1本づつ、愛犬と歩きます  愛犬に声かけして  歩きながらフードを与え  「そうそう」と励ましながら  ウェーブを描いて歩いていきます3. うまく出来ない人はフードで釣りながら歩きます  なかなかうまくウェーブを描いて歩けないときは、フードを手に持って、それをなるべく犬の鼻にくっつけるように (ただし食べられてしまわないように)して持ちながら、ウェーブが描けるように犬を操っていきます。  手にフードを持っていることを犬に教え  フードにつられてついてくる犬に、ウェーブを描かせて  1本づつポールの間を歩きます。最後に手のフードを犬に与えます。4. くぐれますか?  人間にとってどうってことのないことなのに、犬はなかなかできないことがあったりして、散歩中にびっくりすることが  あります。  たとえば犬の体高よりうんと高い位置の車止めの間をくぐらせようとしたら、それまで歩いていた愛犬が踏ん張って前に  歩かなくなったり。こんなときは、どうしていますか?あきらめてさけて通るより、なんなくくぐれるように教えてあげる  ほうが、犬はいろんな意味で自信がつき、さまざまな環境に置かれてもパニックにならずにすみます。  アッツ、なんだか通りたくないなあ・・・(怪しい雰囲気があるみたいで不安)  ほ~ら、ワッハ。おいしいフードがここにあるよ  あ、うまそう(ついフードに引き寄せられ)  いつフードもらえるかな・・・(不安がすっかり消えて、車止めをくぐったワッハです)

2023.10.27

ドッグライフアドバイス

PART1 (19) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(19) いつもの散歩、「くぐって」を教えて楽しみましょう1. 公園で犬と遊びましょう  せっかく愛犬と公園に来たのに、ただただ地面の匂いを嗅ぐ犬に引っ張られて歩くなんて、ちっとも楽しくないですよね。  あなたも楽しい、犬も楽しい、そんなひと時を過ごしてみたいものです。ここでは誰でも簡単に犬に教えることができる、  ベンチの下をくぐらせる遊びをご紹介しましょう。これだけでも歩くだけの散歩に変化がつき、人にも犬にもいつもの散歩  が新鮮になります。2. トンネルをくぐらせてみましょう  犬が立ったままくぐれるトンネル状の遊具があれば、その中をくぐらせてみましょう。でもそんな遊具がないときは、公園  のベンチの下や滑り台の下やブランコの下など、いろんなものの下や間をくぐらせることもできます。ここではベンチの下  をくぐることを例にとってご紹介してみます。  あなたはベンチの脇に立ち、犬はくぐらせる側に置いて。リードを短く持って犬があちこち行かないようにします。なおく  ぐらせる隙間は、体高の低いワッハ君でも画像程度のすきまが限界の低さです。 あなたは犬がくぐり抜ける側(出口)から顔を出し、犬の名前を呼びます。犬と目を合わせて、誘い出すように呼ぶと、  すんなり ベンチの下をくぐり抜けてくれます。  「ワッハ、くぐって」  ワッハ君登場!  リードは引っ張らないでゆるませたままね!  はい、よくできました。ごほうびに小さなフードのかけらを与えます。さあ、あなたも愛犬とチャレンジしてみましょう!3. でもその前に。家の中で練習しましょう  というのも、犬は屋外に出るとどうしても気が散ります。そのため初めて公園のベンチの下をくぐらせようとしても、たぶ  んうまくできないのが一般的です。そんなときに愛犬に声を荒げたり、リードを引っ張って無理やりくぐらせては、楽しい  遊びは台なし。それに犬だって、怖くていやになります。強制しないで楽しく遊ぶことが大切ですから、公園のベンチをく  ぐる前に家の中で練習してくぐることに慣らしてあげましょう。  椅子を用意します。画像のように椅子の脇にシーツなどをかぶせて、トンネル状にします。  最初は椅子の下そのものに慣らすため、犬が椅子の下を自然にくぐるよう、食べ物を小さくちぎって、くぐらせたいコース  にずっと並べていきます。  食べ物を拾い食いし始めたら、「くぐって」(ワッハ君の場合は「トンネル」という号令ですが、号令はいつも同じにかけ  てあげられるものならなんでもいいでしょう)と号令をかけます。そして「そうそう」と励ましの声をかけて続けましょう。  リードを床に落として、犬がくぐるのをほめながら見ていましょう。  はい、くぐれましたね!できたら大げさにほめてあげてください。ここまでを何度も繰り返し、ある程度椅子の下をくぐる  ことが躊躇なくできるようになったら、並べるフードを減らして、最後はフードがなくても「くぐって」というと、椅子の  下をくぐれるようにしていきます。● ボールを使ってくぐらせてもいいでしょう  ボールを追いかけるのが好きな犬なら、ボールを使って椅子の下をくぐらせると簡単にできるでしょう。  椅子の下にボールをくぐらせ「くぐって」と号令をかけます。ボールを追いかけて、ほら椅子の下をくぐった!4. 椅子以外の間もくぐれますか?  犬は応用がきかない動物なので、椅子の下がくぐれたのに、他のものの下や間がくぐれないというのは、よくあることで  す。でも「くぐって」と号令をかけたら、どんなものの間や下でも楽しくくぐってくれる犬にしたいですよね?では椅子  以外ででも、「くぐって」を教えてあげましょう。  画像のトンネルは日曜大工のお店で他の用途として売っていたものを、底の部分を切り抜いて、犬のトンネル遊具用にした  ものです。  「くぐって」というとワッハ君はなんなくトンネルをくぐります。● 初めての犬の場合  椅子の下をくぐらせるのと同じ方法で、まずトンネルの中にずっとフードを並べていきます  トンネルの出口、さらにはくぐり抜けた後の場所にもフードを並べます。(そのほうがまちがいなく、トンネルをくぐり抜  けます)  「くぐって」と号令をかけ、リードを緩めてやると…ワッハ君はフードを拾い食いしながら、いつの間にかトンネルをくぐ  り抜けていきます。  後は椅子の下をくぐらせるのと同じ手順で教え、最終的にはフードを並べなくてもくぐれるようにしていきます。

2023.10.30

ドッグライフアドバイス

PART1 (20) 犬と楽しく外出しましょう

20.「おいで」を教えてたくさん走ろう!1. 「おいで」で、犬の運動量を増やしましょう          オフリードにできる公園で、愛犬のリードをはずして自由にさせたことはありますか?犬は遊び仲間がいないと、最初は         1頭で走っていてもすぐにあきて、結局地面の匂いをかぐことやマーキングに専念して、ボールで遊ばない限りちっとも          運動量が増えないという経験をした人は多いことでしょう。ここでは「おいで」と言うと走ってあなたのそばに来るコツ         をご紹介します。ボールにまったく興味がない犬でもこれができれば、十分の運動量になり(しかもあなたは立ったまま         でいいのです!)、さらにあなたと愛犬の絆が深まるでしょう。 リードをはずしても犬にとって安全で、周りに迷惑がかからない場所にきました。ではワッハ君のリードをはずしてやり        ましょ  う。「さあ、好きに遊んでおいで」  「本当?僕、自由にしていいね」「もちろん!」  「僕はここの草むらの匂いがかぎたかったの」  こんなときは、「おいで」と呼び込んでも無駄です。だから呼びません。  ワッハ君がにおい嗅ぎに少し飽きてきています。呼ぶチャンスです。  「ワッハ!おいで」と呼び込みます。  ワッハ君は走って私のところに来ます  「そう、いいこねえ!」とほめてごほうびのフードを与えてから、首輪にリードをつけます。  そしてすぐまた、リードをはずして、「さあ遊んでおいで!」  これを繰り返すと、私はたいして歩かないのにワッハ君はたくさん走り、運動量がぐっと増えるわけです。犬からもっと離れ  て呼び込むと、犬の運動量はさらに増えますね。2. ではその前に、「おいで」を教えるための約束を守ってください       ここであなたに覚えておいてほしいことは、次のようなときは、決して「おいで」の号令と、愛犬の名前を呼ぶのはやめて       ください。       ● 散歩をおしまいにして帰宅しようとして犬を呼ぶとき       ● 犬がマーキングしているとき       ● 犬が拾い食いしているとき       ● 犬が地面や何かの匂いを嗅ぐのに夢中のとき       ● 犬が他の犬に気をとられていたり、遊びの最中など       ● 犬が何かに気をとられているとき(人や物音などなど)       ● 犬を叱るとき       これらはみんな犬にとってあなたの指示に従いにくい状況や、従ったために犬にとって楽しくないことが起きるときです。こ       んなときに「おいで」や犬の名前を呼ぶことを頻繁に繰り返すと、犬は名前を呼ばれても「おいで」と呼んでもあなたのそば       に来なくなりますので、気をつけてくださいね。3. 犬が落ち着く場所でまず教えてみましょう        屋外で遊ぶ前に愛犬と「おいで」の練習をしましょう。犬が落ち着く場所でしかもリードをはずしても安全な場所、できれ       ば室内で「おいで」の練習をします。なぜならいきなり屋外で上の画像のようにしても、犬は周りのほうに気をとられてあ       なたのそばには来ないからです。下記に手順をご紹介しましょう。       小さくちぎったごほうび用の犬のおやつを5個用意します。  愛犬にリードをつけたら、「ワッハ」と名前を言い、すぐにおやつを1粒だけ与えます。愛犬がどんな状態であっても、名前  を呼んだらすぐにおやつを1粒与えます。  愛犬と自由に歩きます。15秒ほど歩いてください。  すぐに愛犬の名前を呼び、犬がどんな状態であっても名前を呼んだらすぐにおやつを1粒与えます。  今度は4秒ほど愛犬と自由に歩いて、またすぐに犬の名前を呼んでおやつを1粒与えます。次は10秒ほど歩き、名前を呼び、  おやつを1粒、とおやつがなくなるまで続けます。これで犬は名前を呼ばれると美味しいものがもらえると理解したことにな  ります。  次に家族に犬を部屋の外に出してもらい、あなたが犬の名前を呼んだら扉を開けてもらいます。「ワッハ!」とまず名前だけ  呼びます。ワッハ君登場。  ワッハが私めがけて走ってきたら、このとき初めて「おいで」といいます。  ワッハ君が私のそばまできました。  「そう、いいこ」とほめて、私は手にもったおやつをそばに来たことをほめるために与えます。与えるコツは画像のように、   ちょっと私が手を動かすだけですぐに首輪をつかめるほど近距離まで犬が来る場所で与えることです。こうすれば目前で逃   げようとしても確実に首輪をつかむことができるのです。  そしてリードをつけます。  それからまたリードをはずします。「自由にしていいよ」  オフリードでいるワッハ君です。リードをつけたのにまたすぐはずして犬を自由にするのは、そうすることでリードがついた  ら遊びはおしまいと、犬が誤解しないためにとても大切なことなのです。この練習を室内で行ってから、安全な屋外で「おい  で」を使って運動量を増やしてあげましょうね。

2023.11.06

ドッグライフアドバイス

PART1 (21) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(21) 犬のお友だちの家に、愛犬を連れて遊びに行きましょう1. 親しき仲にも、礼儀あり。訪問グッズを忘れないでね  親しい犬のお友だちの家に初めて愛犬連れで訪問するとき、外でいつも会っているからと、不用意に訪問するのは、考えも  のです。相手の犬がテリトリーの防衛本能が強い性向かもしれませんし、各家庭、それぞれに犬との室内での暮らしのルー  ルが異なりますし、犬の毛や泥で室内が汚れてうれしい人はいません。友だちとの関係を友好的に保つためにも、親しい友  人宅といえども、公共の施設に愛犬を連れて行くときと同じ気持ちで、お互いの犬でいやな気持ちにならないよう、また訪  問先で迷惑にならないよう、道具もマナーも用意万端で訪問しましょう。ここでは、最低限、持って行くと便利な道具類を  ご紹介しましょう。2. 排泄のそそう、もしものとき用のグッズ  ペットシート  犬は知らない環境にいるときや、興奮すると、排泄リズムがいつもより早くなるものです。他人の家への初めての訪問は、  犬にとってかなり興奮します。おもらしの危険は、どんな犬にもありますので、愛犬の様子をいつも見ていて、必要なら  すぐに屋外で排泄をさせてやってください。  注意していたにもかかわらず、友人宅で愛犬がそそうをしたときには、すばやく排泄物を吸収できるペットシートはとて  も重宝します。  マナーベルト  オス犬用。自宅内でマーキングをしたことがある愛犬を連れて友人宅を訪問する人におすすめなのが、マナーベルトです。  布製のベルトタイプのもので、中にポケットがあります。この中に吸水性のあるシートと犬のオチンチンを差し込んで腹巻  のように犬の体に巻きつけます。これだと、マーキングをしてもマナーベルトの中でするため、室内を汚さず、安心して友  人とお茶を飲むことができます。3. 外の汚れを室内に持ち込まないように、足ふきタオル  友人宅へあがる前に、愛犬の足の裏はきれいにふきましょう。小さなタオル1枚あるだけで、それ以外にも、犬のよだれ、  水を飲んで床をぬらしたときなどなどに、友人に迷惑をかけずにふくことができます。4. 神経質な愛犬のために、水のみの器とトレー  神経質な犬は、器や環境がちがうと水を飲まないことがあります。念のため、愛犬用のいつも使用している水のみの器を持  って行くと、安心です。できれば器の下に敷く防水トレーも持参すると、床を濡らす心配はありません。5. 犬をうろうろさせないで、一定の場所でふせをさせておくためのコングとナイラボーン  これはゴム製でできた、コングと呼ばれる犬のおもちゃです。中が空洞になっているので、その中に愛犬の好きな食べ物を  つめておきます。        フードをつめる前に、コングの入り口から紐を通します。こうすればテーブルの足に紐で縛ってコングを固定することがで        き、訪問先で愛犬を傍若無人にウロウロさせないで、テーブルの下でおとなしくコングをかじっていられるようにできます。  これは、犬がかじるためのナイラボーンと呼ばれるおもちゃです。フードをつめたコングに比べ、犬を一定の場所でおとなし  くさせておく道具としては威力が低いかもしれませんが、コングを与えるとよけいに凶暴になる犬やコングよりこっちのほう  が好きな犬には、おすすめです。 ★ どちらも使用上の注意があります。詳しくはPART1(22)で説明します。6. リードは予備に持っていると安心        何かの拍子にリードが汚れたり、リードをかじってしまったとき用に、予備のリードを1本余分にもっているといいでしょ        う。7. 抜け毛が気になる場合は洋服を着せる        換毛期やシャンプーしたての時期は、どうしても愛犬の抜け毛は多いもの。気になる場合は、Tシャツや犬専用の洋服を着        せて訪問すると、ある程度抜け毛予防になり、友だち宅への配慮ができます。8. 抜け毛予防や、犬を一定の場所にとどまらせるためにマットを        愛犬がふせをしてくつろいでもはみ出ないサイズのマットは、抜け毛の予防になったり、愛犬を一定の場所で落ち着かせた        りするのに、必需品です。この上でコングやナイラボーンを与え、食べかすなどを床に直接こぼさないようしたいものです。

2023.11.07

ドッグライフアドバイス

PART1 (22) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(22) こんにちは、いよいよお友だちの家に訪問です1. 犬たちは、必ず人間が管理しましょう   普段、仲良しの犬同士でも、訪問先でいきなり最初から犬を自由にさせてしまうと、犬同士の思わぬ事故が起きやすく、  排泄をしたり物を壊したり、どちらかの犬を不安にさせたりと、互いに迷惑となる大きな原因です。ですから、訪問したら  最初の数十分、犬たちが落ち着くまでは、必ずお互いの犬にリードをつけて、それぞれの飼い主の足元で、落ち着くのを待  つようにしましょう。   本日ワッハ君が訪問するのは、大井チェリーちゃん(キャバリア・キングチャールズ・スパニエル)のお宅。ワッハ君と  チェリーちゃんは、互いの家に何回か出入りしたことがあります。でも、今日は初めての訪問のときを再現してみます。2. リードをつけたまま、玄関の中に入ります  訪問先では、ワッハ君はリードをつけたままで玄関の中に入ります。リードは、私がワッハ君を管理しやすいよう短めに持  ちます。 訪問先のチェリーちゃんも同様で、リードをつけてお迎えするか、吠えてしまいそうなら、別室で待機させます。  いずれにしても、人間がリーダーシップをとって、犬たちを管理します。そしてまず人間同士の、ごあいさつ。「こんにち  は」「いらっしゃい」。3. 訪問先の友だちと犬のごあいさつ  人間同士のごあいさつが終わったら、今度はワッハ君と訪問先の大井さんとのごあいさつ。お座りして撫でてもらえると、  マナーが良い犬として好意的に迎えてもらえます。4. 足の裏をふきます  さあ、ワッハ、足の裏のパッドをきれいにしましょうね。5. まあ、素敵なおうちですねえ…  中に通されたときも、ワッハ君には必ずリードをつけます。「好きにさせていいのよ」と友だちが言ったとしても、犬は初  めての場所だといつもとちがう行動をとることがよくあるため、思わぬことで友だちに迷惑をかけることがあります。だか  らここは、しばしがまん。犬にはリードをつけてお部屋へと行きましょう。  ★要注意!  愛犬の爪は切ってありますか?床を傷めないための、お友だち宅への配慮です。6. 犬同士、「こんにちは」  お茶を飲んで語らうお部屋に通されたときにはじめて、チェリーちゃんとワッハ君のご対面です。どちらの犬にもリードを  つけて、最初は少し離れた距離でごあいさつ。特に問題がなければ(どちらかの犬が相手の犬に向かって吠えていたり、ど  ちらかの犬が相手の犬に対してあとづさりしたり、唸っていたり、相手の犬にそっぽを向いていたり、興奮しすげているな  どでなければ)、画像のように、犬同士が近づくのを許してあげるために、リードをゆるめてやります。でもどちらかの犬  が興奮しすぎているか、緊張しているときは、しばらく落ち着くまで、互いが接触できない離れた場所にリードでつないで  おきましょう。  ★要注意!  訪問先の犬のおもちゃは、片付けておいて。犬同士のトラブルの元となります。人間のお付き合いとちがい、犬はおもちゃ  を仲良く分け合って使うのは、よほど仲良しで、互いが譲り合える性格のときか、まったくおもちゃに興味がない場合。そ  れ以外は、おもちゃの取り合いが元で喧嘩になる可能性があります。7. 一定の場所で、犬を落ち着かせましょう  ワッハ君を私の椅子の横か下で落ち着かせます。マットを敷いた上に、コングかナイラボーンを与えておきます。チェリー  ちゃんも同様です。画像では、犬同士が対面してかなり近距離で互いのコングとナイラボーンに夢中ですが、これはワッハ  君とチェリーちゃんが仲良しで、互いの家を訪問しているからです。初めての場合は、画像よりもう少し犬たちを離した場  所で、正面で向かい合わない位置に置いたほうが、犬たちは落ちついてくれます。  ★要注意  画像では、互いの犬がそれぞれのコングやナイラボーンに夢中になっていて安全ですが、初めての訪問では、コングやナイ  ラボーンの取り合いをするケースがあります。その場合は何も与えない(コングもナイラボーンも片付けてしまう)で、リ  ードにつないで犬たちが落ち着くのを待つほうが、早く犬たちが落ちついてくれます。8. リードを足で踏んで、愛犬の行動を管理しましょう  ワッハ君は、ナイラボーンに夢中です。私はワッハ君のリードをさりげなく足で踏んで、ふせの姿勢しかとれないように、  リードを短く管理しています。早くその場で落ち着かせるためです。9. フード入りコングを与えるとき  画像のように、フード入りのコングをテーブルの足もとに縛り、チェリーちゃんから背を向けて食べられるような位置で、  ワッハ君にコングを与えています。このような状態にして、犬同士のトラブルを防ぎます。10. 落ち着いたら、オフリードで自由にどうぞ  犬たちが落ち着いたら、リードをはずしてあげましょう。私と大井さんは、おしゃべりに夢中ですが、必ず忘れないで、ワ  ッハ君とチェリーちゃんの動きを見ています。大切なことは、オフリードにしたら、与えていたコングもナイラボーンも片  付けてしまうことです。  犬同士が落ち着いたら、訪問先の友だちのお誘いにのって、室内探検をしたり、庭先で遊んだりします。ただし、どんなと  きでも犬同士だけにしないこと。飼い主同士、必ず自分の犬を見ていて、何かあぶなそうなときは、すぐにリードをつけます。   ★要注意  オフリードにする前に、床の上に犬がくわえてしまいそうなものが転がっていないか確認して!それが元で犬同士のトラブル  が起きます。また友だち宅に迷惑をかけることもあります。  ★要注意!  自分の犬をちゃんと管理する自信がない人、もしもの犬同士のトラブルをおさめる自信がない人は、互いに愛犬のリードを  つけておきます。11. 楽しかったわ、チェリーちゃん、ありがとう。「また来てね、ワッハ君」  人も犬もくつろいで、楽しく遊んだら、さようなら。玄関先でチェリーちゃんと大井さんがお見送りしています。「また来  てね」と、言われるように。最後はお互いの犬をリードでつないでお別れです。

2023.11.13

ドッグライフアドバイス

PART1 (23) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(23) 初めての車での遠出、安全に移動しましょう1. 最初は、近距離からのドライブで犬を慣らします  初めての犬とのドライブはいきなり長時間の移動をするのではなく、1時間ほどのごくごく近くからのドライブに慣らして、  犬に負担をかけないことがドライブ嫌いにさせないコツです。  今回のモデルは、塚本直子さん(静岡県焼津市在住)とミックスの愛犬ソラ君。生後8ヶ月の元気盛りのソラ君と、森まで  お散歩がてらのドライブにチャレンジしてもらいました。  ドライブの疲れもなく、元気いっぱいに森の中を歩く塚本さんとソラ君。  「あ~あ、いい気持ち、やっぱり自然の中はいいねえ、ソラ」  「いいにおい・・・ワクワクするなあ」とソラ君。2. もっとも安心で安全な移動方法は、クレートを使うこと  犬をもっとも安全に、そして飼い主が安心して運転に専念できる方法は、なんといっても犬をクレートに入れ、クレートご  と車に乗せて移動する方法。それができる車を持っている人には、イチオシのおすすめ方法です。 画像では使用していませんが、もっと犬の安全を考えたら、急ブレーキや振動時に動かないよう、クレートをシートベルト  などで固定させると安心です。3. 犬を安全に車の中に入れるポイント  人間だけでのドライブとちがい、車の出入りの一つ一つが犬の事故につながります。そのため車からの犬の出入りは、常に  犬が安全かどうかを意識しながら行うことが大切です。以下順を追って、事例をご紹介したいと思います。(1) 座席に乗らない大きなサイズのソラ君は、車のバックシートに乗せて移動します。車に入れるときに注意したいのは、リー  ドの長さ。準備が整うまでの間、できるだけあなたのそばに犬がいられるようリードは短く持つこと。これで犬に目が届か  ない背中向きの作業も安心してできます。(2) クレートの扉をまず開けます(3) 犬は抱ける重さなら、必ず抱いてクレートへ入れてやります。勝手に飛び乗らせると、勝手に飛び降りたりして危険です。  また関節なども痛めます。(4) クレートに犬が完全に入ったら、リードをはずしてやります。ドライブ中に、リードを噛み切ったり、リードが犬の体にか  らんだりしないためです。(5) すぐに静かにクレートの扉を閉めます。(6) 完全にクレートの扉を閉めたら、クレートにすっぽりと布をかぶせます。こうすると犬は落ち着いて過ごせます。リードも  すぐ取り出せるように、クレートの上に置きます。 なお密閉されたクレート内の温度が高くならないよう、気をつけて。画  像のように保冷剤や凍らせたペットボトル、あるいは市販のペット用クールマットをクレートの周りなどに置いてやりまし  ょう。ただし、犬がそれらを噛んでしまわないよう注意してください。4. 犬を安全に車から出すポイント  目的地についたら犬を車から出してやりますが、犬は気もそぞろ状態で早くクレートから出たがります。でもちょっと、待  って!こんなときこそあなたは冷静に、犬が事故にあわないよう、安全に犬を車から出してあげなくてはなりません。以下、  順を追って安全なポイントをご紹介します。(1) 犬を落ち着かせるために無言で布を静かにはずし、リードを持って扉に手をかけます。(2) 犬がクレートから飛び出そうとしていないことを確認してから、無言のまま静かに扉を、最初は少しだけ開け、ここでも犬  が飛び出してこないか確認します。(3) 犬がクレートから出られるくらいまで扉を開けても、犬が勝手に飛び出さないことを確認したら(次回にこれを教える方法  をご紹介します)、まず犬にリードをつけます。(4) 「いいよ」という号令で犬がクレートから出てきたら(教え方は次回に)、勝手に車から降りないよう、抱いておろしてあ  げます。落ち着いて、ゆっくり地面に降ろしてやります。5. 車の扉を閉めるときこそ、気をつけて  犬を車から降ろしたとたん、人も犬も目的地へと気持ちがはやります。でもどうか落ち着いて。まずは車の扉を閉め、鍵を  かけることが先。あわてて車の扉を閉めたら、犬が扉に挟まって死亡した例もあります。落ち着いて、犬を見ながら行動し  ましょう。(1) まず、クレートの扉を閉めます。リードは限りなく短く持っていてください。(2) 次は車の扉を閉めて、車に鍵をかけます。このとき犬はできるだけあなたのそばで固定させておきます。画像のように、リ  ードは犬の首のそばで踏んで犬に自由な動きをさせないように固定させてから、犬の姿を見ながら安全を確認して車の扉を  閉めると安心です。

2023.12.22

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PART1 (24) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(24)クレートから犬が勝手に飛び出さないコツ1.まず家の中で、練習します犬をクレートに入れて車で運ぼうとしても、初めての犬は抵抗したり吠えたりして、なかなかうまくできないものです。また入ることは入ったけれど、出そうとすると飛び出さんかのような勢いで扉を押したりします。これではとても危険です。ですから本番前に、家の中でクレートの出入りの練習をして、完璧になったらドライブで活用しましょう。2.フードを使って、犬をクレートの中へと入れます無理やり犬をクレートの中へ入れると、次からは抵抗して入らなくなります。ですから、画像のように犬の好きな食べ物でつって、クレートの中へと犬が自然に入っていくように仕向け、時間をかけてクレートの中へ入る練習をします。(1)犬にリードをつけて、食べ物を見せながら「ほらソラちゃん、おいしい食べ物が中に入っているよ」とクレートの奥へと食べ物を置きます。(2)「わあ~、ほんと。うまそうな食べ物だ」。ソラちゃんがみずからクレートに入っていきました。犬がクレートに入りやすいように、リードはゆるめておいてね。(3)ソラちゃんがクレートの中の食べ物を食べている間に、再び食べ物を用意して、ソラちゃんが扉のほうへと体を向けたら、すかさず用意した食べ物をクレートの中で食べさせます。(4)食べている間に、リードをはずします。(5)静かに扉を閉めます。このときフードをつめた噛むおもちゃを中に入れてやると、犬がクレート内でおとなしくしていることが多いものです。(6)静かに布をかぶせます。この状態で最初は5秒だけクレートの中でいることを練習します。毎日少しづつ時間をのばして、クレートの中でおとなしくしていることを練習します。3.「いいよ」と言われるまで、クレートの中から勝手に飛び出さない教え方「いいよ」と言われるまで、たとえクレートの扉が開いていてもおとなしくクレートの中でいられるように犬に教えると、犬の安全を守ってやれ、あなたも落ち着いて行動ができます。すぐに犬にリードがつけられるよう、あらかじめ手にリードを持ちながら行います。まず扉に手をかけます。このとき犬が扉に手や鼻先をくっつけるなどの行動をするようなら、扉にかけた手を扉からはずします。しばらく犬が落ち着くのを待ちます。落ち着いたら再度挑戦します。扉に手をかけても、犬が扉に触らなくなるまで、無言で繰り返します。(1)(2)扉に手をかけても、犬が扉に触らなくなったら、次は扉を少しだけ、開けてみます。犬が手や鼻先で扉に触れるようなら、すぐに扉を閉めて、(1)に戻ります。(3)扉を少しづつ開け、このとき犬が顔を出そうとするしぐさをしたら、すぐに扉をしめて(1)に戻ります。こうして少しづつ犬が出られる程度まで扉を開けても、犬がクレート内にとどまっていることを(勝手に飛び出さない)、扉の開け閉めのタイミングで教えていきます。(3)扉を少しづつ開け、このとき犬が顔を出そうとするしぐさをしたら、すぐに扉をしめて(1)に戻ります。こうして少しづつ犬が出られる程度まで扉を開けても、犬がクレート内にとどまっていることを(勝手に飛び出さない)、扉の開け閉めのタイミングで教えていきます。(4)扉を完全に開いても勝手に飛び出さない状態になったら、リードをつけます。このとき勝手に飛び出そうとしたら、無言のままリードをはずし、すぐに扉をしめます。(3)に戻ってやり直して、リードをつけても(扉が開いている状態)、クレート内にとどまっていられるまで、何度も黙って(3)からやり直します。(5)クレートの扉が全開し、しかもリードがついた状態でも犬がおとなしくクレート内にいるようになったら、「いいよ」とクレートから出ても良い合図を言いながら、犬をクレートから出します。これができるようになったら、練習はおしまい。ドライブに行きましょう!4.クレートの選び方のコツクレートにはさまざまな種類が販売されています。ここでは選び方の基本的なコツをご紹介します。(1) サイズはジャストフィットが理想クレートの奥行きのサイズは、犬がふせをした姿になっても前足と後ろ足がクレート内でおさまる程度のジャストフィットが理想です。それより狭いと犬にはきゅうくつだし、広ろすぎると中が不安定で居心地が悪く、また排泄のそそうもしやすくなります。クレートの高さの理想は、立った状態で犬の頭がクレートの天井にぶつからないほどの高さが理想です。画像のソラちゃんのクレートは、ソラちゃんには天井が低く、長時間ドライブには向きません。(2)扉は左右に開閉できるのが使いやすい小型犬のものだとしても、扉は衝撃ではずれない、頑丈なものが安全でおすすめです。また左右の開閉ができる扉だと、どの位置にクレートをおいても不便が少なく、簡単に短時間でクレートの「出入り」を扉の開閉のタイミングで教えるときに便利です。(3) クレートの上は閉じているほうが、安心画像のようにクレートの天井部分が外から見えるものは、犬をクレート内で落ち着かせるには、このままでは難しいでしょう。このタイプを利用する人は、必ず布をかぶせてあげましょう。5.クレート内を快適に過ごすグッズの色々(1)クレート内でたいくつさせない、吠えさせないためのグッズの色々。噛むおもちゃ、食べ物を詰めておくおもちゃ、それに歯磨きペーストはおもちゃに少し塗って与えると犬は喜びます。クレートで移動する犬の友に活用ください。(2) クレート内の温度が高くならないよう、冷やすためのグッズです。ペット専用のクールマットやアンチ・ヒート・Tシャツなど、暑さに弱い犬専用の対策グッズはペットショップに豊富に出回っています。活用しましょう。

2023.12.25

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PART1 (25-1) 犬と楽しく外出しましょう

1. 顔見知りであっても、普段、犬同士接触させたり遊んだりの体験がない3組。向かって左から塚本直子さんとソラ君(ミックス)。大井由紀子さんとエンビ君(T・プードル)。良知登美子さんとマリンちゃん(シェルティ)。お友だちになるコツは、いきなり犬同士を接触させないで、お互い接触できないように、少し距離をとり、リードをゆるめて持ち、犬たちの様子を観察します。おやおや、ソラ君は地面をクンクン。エンビ君は犬たちには無関心のそぶり。マリンちゃんも犬たちに関心がないようにお座りしています。3頭とも、本当は犬にとても興味がある犬たち。実はこれは全部犬語で、「みんな落ち着いて。僕も私も落ち着いています、いいコです」と犬たちや他の飼い主やカメラマンに伝え、その場の争いをさけているのです。2. 犬語を話させてあげましょうソラ君は、地面に体をこすりつけています。犬語で「僕は落ち着いているよ」と伝えています。十分に犬語を話させてあげることで、お互いが安心できるのです。こんなときは、あなたは愛犬のリードをゆるめて、犬同士がむやみに接触しない距離で、リラックスした気持ちで立って、犬たちが犬語を十分に交わしあうまで待ってやります。3. あいさつは一対一で次に犬同士にあいさつをさせます。でも3頭の犬たちを、全部いっしょにあいさつをさせようとすると、トラブルの元。必ず一対一であいさつをさせます。4. リードをゆるめて、おしりの匂いをかがせてあなたは愛犬のリードを必ずゆるめて持ちましょう。ソラ君がエンビ君のおしりの匂いをかいでいます。おしりの匂いをかぐことは、相手がどんな犬かを知る方法であり犬同士のあいさつです。そしておしりの匂いをかがせてあげる犬は、相手と仲良くする意思表示の合図です。5. おしっこをかけあう意味エンビ君が木にマーキングをしています。この後、ソラ君が同じ場所にマーキングをしました。これは仲間である印なのです。6. リードを張ってはダメ互いのお尻のにおいをかぎたくて、犬同士がからんでいるとき、あなたはリードがゆるむように持ちなおしましょう。画像のように、リードがピーンと張った状態では犬の首に圧がかかり、これは犬同士の喧嘩に発展する大きな原因になるのです。こんなときも、リードをゆるめて匂いをかがせてあげましょう。7. 互いに無関心な犬たちエンビ君も、マリンちゃんも、お互いに無関心を装い、少し緊張しています。こんなときは無理に仲良くさせる必要はありません。8. 飼い主同士がしゃがんでおしゃべりすると飼い主同士がしゃがんでおしゃべりを始めたとたん、2頭の犬同士は安心して、お互いの匂いをかぎ始めました。こんなときも犬のリードはゆるめて持ち、犬たちの自由にまかせることが大切です。9. 仲良くリラックスよほど相性の良い犬同士、よほど遊び好きの犬でない限り、おとなになった犬たちは、お互いが安全な存在だとわかったら、もう興味があまりなくなります。これは自然なことです。そしてこれでも犬同士は友だちになっているのです。それなのに犬同士を無理に遊ばせようとするのは、飼い主のエゴというものでしょう。

2023.12.25

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PART1(25-2) 犬と楽しく外出しましょう

PART1(25-2) 仲間意識を高めるゲームをしてみませんか?10. 犬同士が友だちになったら、今度はさらに互いの仲間意識を高めゲームをすると、今度会ったときには、お互いリラックスしてあいさつができる犬になります。ここでは2つご紹介しましょう。11. 一列になって木の間をぐるぐる歩きます先頭のマリンちゃんの後ろから2組が続きます。木の間をくぐりながら歩いていきます。くぐり終わったら、また最初のスタート地点へと戻ります。ソラ君も続きます。エンビ君も続きます。この後先頭はソラ君に代わり、終わったら次はエンビ君が先頭となって同じコースを歩きます。先頭が順番に変ること、歩くコースが直線ではなく曲線であることが、仲間意識をリラックスして高めていくコツなのです。12. だるまさんが、転んだ!おなじみ「だるまさんが、転んだ」遊びを、犬同士の仲間意識を高めるゲームとして活用します。最初に鬼が、犬の静止状態の姿勢を指示します。「ふせですよ」。続いて鬼が「だるまさんが転んだ!」と叫びます。それを合図に、一直線で待機していた3組が鬼の背中に向かって走ります鬼が叫び終わり、振り向いたときに、「ふせ」で静止していた犬は次にすすめます。でもそれまでに「ふせ」ができない犬は失格です。静止姿勢は「おすわり」「たて」「だっこ」など色々に変えてゲームを盛り上げ、勝敗は犬たち全員が失格になると鬼の勝ち、ゲーム中に飼い主が鬼の背中をたたくことができたら、犬たちの勝ちとなります。

2024.01.05

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PART1(26)犬と楽しく外出しましょう

PART1(26) 仲間といっしょに公園で愛犬と遊びましょう1. リードつきで、楽しく遊ぼう大井由紀子さんとエンビ君、塚本直子さんとソラ君、良知登美子さんとマリンちゃん、みんなの仲間意識が高まったところで、飼い主さんと愛犬で、それぞれに遊ぶことにしました。歳の若いソラ君は、飼い主と遊ぶより他の犬が気になってしようがありません。でも時間がたつにつれて、飼い主と遊ぶほうが楽しくなっていきました。他の犬がいても、飼い主が誘えばすぐに遊びに乗ってくる愛犬に育てると、とても扱いやすくなります2. ロングリードで遊ぼうロングリードをつけて、「持って来い」の遊びをしている大井さんとエンビ君。ロングリードはおもちゃを遠くへ投げてたくさん走らせることができ、運動量が高まります。オフリードで犬と遊ぶのと同じくらいのダイナミックさが楽しめ、しかも犬の安全と他者へのマナーを守ることができます。ロングリードは使いなれると、フレキシブル・リードより使いやすく安全な道具です。ロングリードを全部地面に落として、リードの先だけ持って扱います。リードは、長いほうが地面にリードを落とすことができて、犬の足や体にリードがからみにくくなります。3. 慣れない人は、1.8メートルのリードで遊ぼうロングリードを使ったことがない良知さんとマリンちゃん。ふだん使っている1.8メートルの訓練用の、普通のリードより少し長めですが、それをつけて、「もってこい」の遊びをすることにしました。おとなしい犬なら、この長さでも十分に遊べます。4. みんなと公園のベンチで一休みしましょう遊びつかれたら、仲間といっしょに公園のベンチで一休み。みんなリラックスしています。画像のように、それほど親しくない犬同士が、互いの間がとても狭い環境にもかかわらず、最初からリラックスしています。普通は、なかなか落ち着けないものなのです。ベンチで休憩を取る前に、犬同士が友だちになり、仲間意識を高めるゲームをし、飼い主と愛犬で遊びながら十分に運動をしたことで、短時間で犬たち全員が寄り集まるような間隔の中ででもリラックスできるようになったのです。若さの盛りで元気いっぱいのソラ君も、さすがに遊びつかれてブレイクタイム。満ち足りた顔をしています。愛犬を自分の足元で伏せさせておくと、犬同士の接触事故は防げます。また犬も飼い主のそばにいるとリラックスできます。うれしくてしようがない顔をしているエンビ君。小型犬のエンビ君は、寒さよけ用のマットの上で休憩をしています。「マット」の号令を教えたことで、マット1枚を持っていれば、このとおり、どこででもマットの上でくつろぐことができるようになります。寒さ予防、訪問先でのエチケットなどとして、マットは犬と外出するときの優れた道具です。見よ!マリンちゃんのこの笑み。おとなしいマリンちゃんも時間の経過とともにすっかりリラックスして、みんなといっしょに楽しく過ごしています。常に犬の水飲み用の器を持って外出すると、重宝します。

2024.01.16

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PART1(27)犬と楽しく外出しましょう

先ごろ読者の方から、「フレキシブル・リードの危険性」について、とても貴重なご意見をいただきました。そこで今回はフレキシブル・リードと同様、使い方をまちがえると事故となりやすい、ロングリードや訓練用のカラーも含めた、リードとカラーの正しい使い方についてご紹介したいと思います。特に最近は、ペットショップやインターネットや通信販売誌で、使用上の注意を守らなければ事故につながるこれらが手軽に購入できるようになってきました。あなたの愛犬が使用しているリードとカラーは、正しい使い方をしていますか?事故が起きない使い方をしていますか?あなたも愛犬も周りの人々もペットたちも、安全にそして安心して散歩ができるよう、もう一度、確認してみましょう。● 他犬のフレキシブル・リードで怪我をしたMさんの事例まずは、特集のきっかけとなったMさんからのメールの一部を抜粋してご紹介します。「このたび犬を飼っておられる方々に知っていただきたいことがあり、メールをさせていただきました。(中略)自分の飼っている犬を散歩させている途中、フレキシブル・リードにつながれた犬がうちの犬を追っかけようとして、突然後方から走り寄り、そのリード(ワイヤー)が私の足にすれて、足が切れてしまいました」Mさんは、さらにこう書いています。「このようなケースはほんの一例のようで、私の身近でも「犬がひっかけてけがをした」とか「飼い主自身が指を切った」などという話をきいています。」● フレキシブル・リードで不安になる事例実は当協会でも「交差点で犬だけ先に道に出てしまい、歩行者も運転する人間にとっても不安」「夜の公園で出会ったときは、放し飼いに見えて怖くなる」「道を横幅いっぱいのばしていると、自転車などからはワイヤーが見えにくく困る」など、フレキシブル・リードの犬による「ヒヤリハット」体験をしている者が大勢います。私自身も、フレキシブル・リードを使用している犬に対する安全性の心配がつきません。何よりも、いきなり長いリードを引っ張ってしまう(飼い主は引っ張られてしまうと言いますが)ため、犬の首にかなり大きな衝撃がきます。これは犬の攻撃性を高めることにつながるだけでなく、首の骨の損傷、脳への打撃など健康面での不安を感じてしまいます。またリードが長い分犬は自由がきくので、拾い食いによって命を落とす可能性も高く、そしてMさんが体験したような、お行儀の悪い犬と社会性のない飼い主による危害で、私と愛犬が事故に巻き込まれないかとハラハラしてしまいます。あなたは、いかがでしょうか?● フレキシブルリードとは?隣のブルーのリードは1・8メートルです。それにくらべ、かなり長くなっています。写真は体重3キロまでの小さな犬用の紐タイプのもの。最長8メートル前後までリードが伸びるタイプが多く、手元のストッパーを押すと、リードが伸びたり、縮んだり、同じ長さをキープできたりと自由に調整できます。そのため、うんと遠くまで自由に愛犬を走らせることができます。運動量をたくさん必要とする犬に向いていますが、体重が重い犬の場合リードが長い分引っ張られたときの衝撃が強く、あなたが体を持っていかれてしまうのなら、絶対に使用するべきではありません。犬の体重に応じたタイプを選ぶことが大切で、そうでないとスピードに伴う負荷の衝撃によってリードが切れてしまいます。リードの素材はワイヤー、紐、ナイロンなど、犬の体重や運動量で色々あります。犬を暴走・脱走させないよう、愛犬の適性タイプを選びましょう。● フレキシブル・リードの正しい使い方Mさんのメールには、次のような使い方をしてほしいと書いてあります。抜粋してご紹介します。「周りに人や他の犬がいない広い場所で使うようにするなど、飼い主がフレキシブル・リードの危険性を認識した上で、責任をもって利用するべきだと思います。特によく走る元気なわんちゃんがビューッと伸びて自由のきくワイヤータイプのフレキシブルを使うと、凶器になります」と。その通りだと思います。あなたは犬の飼い主としての社会性を身につけていますか?1・ 公道では、普通のリードで歩きます。2・ 公園など広い場所に来たら、他人や他の犬の迷惑にならないか確認してからフレキシブル・リードに付け替えて使用します。3・ 愛犬が走り出してからリードをのばすと、スピードがあるためリードに触れたら人も犬も怪我をします。歩いているときに、少しづつ伸ばしてやります。4・ 愛犬が走り出したとき、リードは伸ばさずその長さを維持しながら、愛犬が落ち着くのを待ち、落ち着いてからリードを伸ばしてやります。5・ 愛犬に引っ張られないよういっしょに走り、愛犬の首に衝撃が加わらないように使います。6・ リードであなたや愛犬が足をひっかけないよう、常に気をつけて使用します。● ロングリードとは?ロングリードで愛犬と遊ぶと、一般のリードを使うよりはるかに運動量があり、遊びもワイルドにできます。活発な犬には、必需品かもしれません。隣のブルーのリードは1・8メートルのもの。それに比べ、ずいぶん長いリードです。6メートル前後あります。素材は綿やナイロン製が主流です。● 安全な使い方ロングリードは、犬と一緒に歩くときに使うものではありません。犬と遊ぶとき、走らせるとき、「おいで」や「まて」のトレーニングをするときに犬をコントロールしながら、主に犬を動かすときに使う道具として重宝します。ただその名のとおりとても長いため、リードがからんで犬も人も転ぶことがあります。またいきなり犬が走り出したら、リードによって手がすれたり、摩擦でやけどをしたり、人が転倒する危険があります。また犬の首に思わぬ衝撃を与えて骨を損傷する危険などもあります。フレキシブル・リードとちがい、長さを調節するには手で直接リードを手繰り寄せたり伸ばしたりしながら使うため、飼い主のリードさばきの技が必要です。でもだからこそ、ロングリードの扱いに慣れたら、むしろフレキシブル・リードより安全で、使いやすい道具となります。このほかボール遊びを愛犬とするときに、ロングリードで愛犬を係留して、遠くまで走ってボールを持ってこさせるときにも重宝します。ただし、リードの長さ分以上の距離までボールを投げると、犬の首に深刻なダメージを与える危険がありますから、その点を注意しながら使ってください。使い方はホームページの(26)にもご紹介してあります。参考にご覧下さい。● どんなに犬の体にやさしい訓練用の道具でも使い方によっては、危険な道具となります1・ ジェントル・リーダー平野もっくん2・ プレミア・カラー岡本ハル君3・ イージーウオーク・ハーネス佐々木まいちゃんこれらはみな私の教室で使用している、一般の飼い主でも簡単に使用でき、しかも犬に苦痛が少ない、訓練用のヘッドカラーとカラーとハーネスです。とはいえ犬に「リードを引っ張らないで歩くこと」を教えて、実際に散歩でそのように歩くことをしなければ、毛がすれたり、ちっとも効果がなかったり、犬が苦痛を感じたりしてしまいます。それどころか正しい装着、正しい使い方をしなければ、犬の首に衝撃を与えたり、脇を締め付けすぎたり、脱落したりと、とても危険な道具にもなりかねないものです。なお上記にあげた道具類だけでなく、使い方が難しい、たとえば犬にとって苦痛が強いチョークチェーンタイプのカラーなど、今、日本で手に入る訓練用のカラーのすべては、下記の注意を守って、道具に応じた正しい使い方をしなければなりません。注意1・ 引っ張りを予防すると称されているすべての訓練用のカラーなどの道具は、犬だけで係留するときははずして、一般のカラーにつけかえなければなりません。注意2・ ドッグスポーツ、激しく動く、走る、遊ぶときなどは、一般のカラーにつけかえてから行うべきです。注意3・ 「リードを引っ張らないで歩行する」ことを犬に教えなければ、使用する資格はありません。注意4・ ドッグトレーナーやインストラクターのアドバイスを受けて、歩行練習をしながら使用すべきで

2024.01.16

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PART1(28-1)犬と楽しく外出しましょう

PART1(28-1) 愛犬連れの仲間とランチを楽しみませんか?お店に入るまでのマナー1. こんなドッグカフェには、行きたくない!?あなたはドッグカフェに、愛犬と行ったことがありますか?私は、あまり行きたくないこの頃です。なぜって?来店している犬たちや飼い主のお行儀が悪かったり、お店の犬がオフリードだったり、店内に排泄物の匂いが漂っていたり…衛生的で快適でリラックスして楽しめるお店がめったに見つからないのです。2. 「ドッグ」のつかない飲食店に、愛犬と行きたい本当は「ドッグ」のつかない、人が普通に利用する飲食店に愛犬と一緒に入店できたらいいなと思います。でもそのときは、マナーの良い、衛生・健康・病気予防の管理ができた犬でなければ、他のお客さまに迷惑がかかります。だから、愛犬に時間とお金とエネルギーをかけてそんなふうに育てることができた、社会性のある飼い主と愛犬、いわば選ばれた人と犬しか入店できないでしょう。そんな条件つきの飲食店が日本に増えたら、どんなにいいでしょう。お散歩の途中、ドッグトレーニングの帰りと、気軽に喉をうるおせて気分転換もできて、犬との外出もさらに増えるにちがいありません。3. 「ドッグ」のつかないショップで挑戦そこで、私はチャレンジしたくなりました。というのも私の「家庭犬のしつけ方教室」のすぐそばに、「スナゲリ」という、お花と雑貨それに喫茶と軽食とアルコールが出るお店、もちろん「ドッグ」がつかない、素敵なショップがあります。ここで、愛犬連れの仲間どうしでランチをいただくことに挑戦できたらと。オーナーの杉山ユウスケさんは言いました。「しつけができていて、衛生面に気を配った犬ならいいですよ」と。やったあ!4. ランチを楽しむモデルのみなさんです「スナゲリ」ランチにチャレンジしていただくのは、次の3組です。鈴木由美子さんとフラット・コーテッド・リトリバーのヴァトン岡本美代子さんとラブラドール・リトリバーのハル君大井由紀子さんとT・プードルのエンビ君スナゲリ前にて。みなさんは「優良家庭犬普及協会」主催の「キャナイン・グッド・シチズン・テスト」に受験予定で、私の教室に通っているトレーニング仲間です。このテストは、公共の場での犬のマナーと飼い主の社会性が図られるテストでもあり、陽性強化トレーニング法によるテストの中では、もっとも難度が高いと言われています。テストの項目の一つに、「飼い主が飲食中のテーブルの下で、愛犬が10分間おとなしくしている」というのがあります。今回のチャレンジは、テストの練習にももってこいでした。ではこれから、お店に入るまでを手順を追ってご紹介したいと思います。5. お店の前で集合。そのときの、悪い見本はこれ「悪い見本、見せてくださ~い!」と言うと、3人はにやりと笑い、ほら写真のとおりにお店の前で、リードをだらしなく持ち、たむろしてくれました。これでは他のお客様が入店したくても、犬がジャマになりますよね。待ち合わせ場所では、くれぐれも周りの人々に気を配り愛犬の管理をしたいものです。6. お店前での、良い見本はこれ「それでは、良い見本、お願いします」というと、みなさんはリードを短く持ち直し、入り口に向かって、縦に一列に並びました。これなら他のお客さまに迷惑がかかりにくいでしょう。仲間同士でおしゃべりしているときも、注意を怠らないでくださいね。7. お店に入るときの悪い見本はこれ入り口を犬でふさいでしまっては、お店から出る人に迷惑ですよね。8. お店に入るときは…間口が狭く、入り口付近に商品が並んでいる・・・犬ならつい、口にくわえたくなる誘惑がいっぱいのスナゲリ店内の入り口。一列に並んで入れば、トラブルも予防しやすくなります。ちなみに写真では全員が写るように撮影したいため、小型犬のエンビ君が先頭になっています。でも実際では先頭を歩く犬はむしろ大型犬で、引っ張りグセが強い犬のほうが事故になりにくいでしょう。犬は狩猟本能があり、小型犬はどうしても大型犬のその本能を刺激しやすいのです。また目の前の犬が先を歩いていると、どうしても追いかけたくなるのが犬の習性です。何頭もの犬連れで入店するときは、こうした犬の習性も考慮して入店の順番を決めてください。9. 店内に入ったときの悪い見本「エンビ、勝手に行っちゃダメ」と大井さん。店内での悪い見本のモデルとなったエンビ君はすっかり張り切って、予想以上に店内を小走りに探索しはじめました。リードを伸ばして店内に入ると、どうしてもエンビ君のように犬は勝手をしてしまいます。他のお客さまに不快感を与える大きな要因です。10. 店内では愛犬のリードは短く持って鈴木さんとヴァトン君。リードはほとんど手の中にたたむほど短く持っています。犬のサイズに関係なく、店内では愛犬の管理がしやすいようリードは短く持つのがマナーです。11. 超難度の高い店内、飼い主としては神経を使いますスナゲリの店内。低い椅子と岡本ハル君の体長分もない小さなテーブルは、犬が立っているだけでランチを食べられてしまいそう。我慢できる犬だって、ものすごい誘惑の環境です。そしてご覧のように狭い店内では、ハル君が立っているだけで、他のお客さまが気になって振り返って見てしまいます。岡本さんは、ハル君を足元へ誘導するのにも神経を使っています。この店内で、3組の犬たちはどうやって静かに飼い主の足元でふせていられるでしょうか?超難度の高い飲食店で、果たして食事が終わるまで犬たちはふせたまま落ち着いていられるでしょうか?次回をご覧下さい。

プロフィール

利岡裕子(としおか ゆうこ)
著述家、公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。
本協会の会報誌『パートナー犬』において「いぬはなにを考えているの?」を2000年より20年以上にわたって連載中。
「イヌは飼い主に似る」「イヌと上手に話ができる本」「大好きなイヌともっと仲良くなる44の方法」(三笠書房・王様文庫)「犬の飼い方 常識非常識?」(誠文堂新光社)「犬と話そう」(偕成社)など、著書多数。執筆のかたわら静岡市で「ドッグスタジオyukko家庭犬しつけ方教室」を開いている。

利岡先生