豆柴紹介

世界「豆柴」宣言

平成20(2008)年、
私たちは、豆柴を犬種「豆柴」として公認しました。
柴犬ではありません。小さい柴でもありません。
「豆柴」という、立派な名前がある犬がこの世に存在することを認め、
高らかに謳いあげたのです。
新しい犬種ゆえに、茨の道もあるでしょう。
けれども、豆柴は、愛犬家の人々の家族となりパートナーとなり、
人と動物がよりよい関係で共生する社会に生きることを夢見て、
豆柴独自の道を歩いていくのです。

いかに犬種「豆柴」を公認するに至ったか

KCジャパン豆柴公認とスタンダード公示
豆柴の現況と公認の経緯

立ち耳、巻尾の日本犬は石器時代の土偶の出土からもわかるように太古の昔から日本人と共に暮らしてきた日本古来の犬です。
島国である日本は、全国各地に風土に根ざした特徴を持った"地犬"といわれる大きさもまちまちの犬たちを生み出しました。
柴犬という呼称は大正時代から使われだした小さい地犬たちの総称だったようです。
昭和9(1934)年に社団法人日本犬保存会が大型、中型、小型に分類した日本犬標準を公表し、柴犬は体高雄38~41 cm雌35~38cmの小型に分類されました。
昭和11(1936)年には天然記念物に指定され、今日までその標準に沿った繁殖が行われ優れた犬たちが作出されて来ました。
しかし、そうした流れの中で標準に外れたことで残念ながら絶滅した犬種もあり、太古の柴犬への復元や新しい犬種への取り組みもなされてきました。

小さな柴犬は第二次大戦前までは、日本各地の山間部の農猟兼業農家で飼われていました。また、山岳部の猟師は鉄砲を使わない小物穴獣(ウサギ、テン、ムジナ、タヌキ、キツネ)の猟犬として実猟に使っていました。
戦時中に絶滅したものと思われましたが、昭和40年代の雑誌「狩猟界」には、愛知の繁殖家がアナグマ、イタチなどの穴モグリ猟用の小型柴犬(成犬体高九寸~一尺:およそ27~30cm)を販売している広告があります。
豆柴は昭和25(1950)年頃から京都の柴犬愛好家が「樽井荘」の犬舎号で標準より小さな柴犬を豆柴の名称で繁殖に取り組んだのが始まりで、半世紀を遥かに超える作出の歴史があります。

平成3(1991)年頃から新聞、雑誌、テレビなどメディアに取り上げられブームになったことにより豆柴の名称は広く知られるようになりましたが、高額での販売取引が話題になったこともあり、他犬種との交雑や幼犬期の給餌制限による栄養不良、成犬になって大きくなってしまうなど、にわか繁殖家による不正な繁殖や販売時の表示や説明がわかりにくいなど問題になり、当時の公正取引委員会では「ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査報告書」(平成20(2008)年)で不当表示などについて留意点を示すに至りました。

血統書発行団体を見てみると、公益社団法人日本犬保存会のホームページでは「日本犬保存会として公認することはありません。」「日本犬保存会では、「豆柴」と明記した血統書は発行しておりません。」との記載があり、全犬種血統発行団体である一般社団法人ジャパンケネルクラブのホームページでは「本会の血統証明書に、「犬種名」として表記されることはありません」との記載があり、いずれも豆柴を認めていません。
当協会が豆柴を公認する前は、公認する法人団体がなかったため当協会も含めてそれぞれの団体で「柴犬」として血統書が発行される一方で、繁殖家個々の基準や判断で「豆柴」として販売されるという矛盾が生じ混乱を招いていました。血統書上、柴犬であることから柴犬との交雑もあり、このままでは柴犬の矮小化にもつながることが危惧されていました。

当協会では飼育環境の変化(室内飼い志向・飼育者の高齢化・小型愛玩犬ブーム、そしてペットからコンパニオン・アニマルへの意識改革)、豆柴の名称の定着度などから、豆柴公認は時代の要請でもあると判断し、平成15(2003)年、樽井荘系列の犬を基礎犬としておよそ30年間(当時)に及ぶ系統繁殖を続けてきた西山重幸氏の豆柴犬舎「摂州宝山荘」の加盟を得て、繁殖管理と純化固定を調査してきました。

その結果、完成度の高い個体が安定して作出されることを確信しましたので、犬種標準(スタンダード)を公示し、豆柴を公認するに至りました。
成犬時(生後12カ月経過後)に全犬を審査する「豆柴認定制度」による繁殖管理を徹底することで豆柴の犬種の純化固定を推進すると共に、犬種を区分して交配を制限することで柴犬の矮小化にも歯止めを掛けています。

繰り返しになりますが、私たちが豆柴を公認し、豆柴の血統を登録し、豆柴の血統書を発行することは、繁殖管理の徹底によって犬種「豆柴」の純化固定を進め、第一には、健全な豆柴を人間の家族の一員、パートナーとして安心して迎えることができる社会をつくる一助となり、第二には、犬種を「豆柴」と「柴犬」に区分して、「豆柴」と「柴犬」の交配を制限することにより、犬種標準(スタンダード)から外れて矮小化していくことを防ぎ、天然記念物である柴犬を守ることにもつながっていくと考えています。

犬種「豆柴」の公認は、豆柴たちの未来を明るく照らしています。

豆柴犬種標準書〈スタンダード〉

豆柴 Mameshiba

豆柴犬種標準書〈スタンダード〉

国際グループとサイズ
2008年11月1日現在での公認団体は、日本社会福祉愛犬協会〈KCジャパン〉のみである。

国/クラブ グループ 体高 備考
日本//KCJ (Ⅵ)ノン・スポーティング
30~34cm
28~32cm
体高25cm以下でも心身共に健康であれば合格とする

※ 展覧会出陳の際は、出陳犬種グループは日本犬グループとなります。

特徴
豆柴は、日本人が古来より愛し続け育成してきた柴犬を現代の生活環境に順応させるべく、体型の小さい柴犬を選び何代にもわたり交配したものである。その遺伝的特質は柴犬の特徴を著しく受け継いでおり、素朴でありながら気品に満ちており、勇敢で主人に忠実。小型犬ながらも、古武士のように凛とした風貌と敏捷性は柴犬そのものであり、加えて、小型化による愛らしさを伴う犬種である。
一般外貌
先祖犬である柴犬の特徴をいかんなく発揮し、外貌は柴犬そのものであるが、小型家庭犬として性格は明るくフレンドリーであり、性質はシャイであってはならない。雄は雄らしく、雌は雌らしい外貌を有さなければならない。
体躯
体高が10に対し、体長は11が理想的な体躯でありそれを支える四肢は丈夫で引き締まった筋腱を有することが望ましい。
頭部
体躯に釣り合う頭部を持ち、正面からの顔貌は柴犬に比べ、やや丸みを有する。額は広く扁平であり、狭いものや皺のあるものは好ましくない。
顔貌
柴犬の精悍な表情に比べ、小型化された豆柴の顔貌はその体格に似合う愛らしい表現がなければならない。ストップは、柴犬に比べやや深く頬は豊かに張りがなければならない。雄は特に顕著である。
小さく三角形でやや前傾し力強く先端まで立ち、内側の縁線は直線で、外側の線はゆるやかな弧を描く。耳幅と長さは顔貌に合った、程良い大きさが好ましく、極端に狭いもの、広いもの、大きいもの、小さいものは好ましくない。また、厚みのあるものを良とする。
凛とした力があり、やや緩やかな三角形を成し暗褐色の深みのあるものがよい。
すべての毛色に対して黒色である。肉色や斑模様のあるものは好ましくない。鼻鏡は潤い、小さくまとまっているものが良い。
口吻
雄はやや短めで、ふっくらと丸みのあるものを良とする。雌は雄に対してやや細めではあるが、しっかりとした力強さが望まれる。口角は一直線によくしまり、黒く濃い色調をもっている。
強健でシザーズバイトであり、他の咬合は欠点となる。欠歯も欠点となる。
太く短く、頭部を支えるに充分な力量感を現していなければならない。
充分に発達しその形状は卵型であり、扁平したもの丸胴は好ましくない。その深さは体高の半分が望ましく、力強いものが良い。
まっすぐな背線であり、力強い。
豊かな幅を有し力強くまっすぐに臀部にいたる。筋肉は、腰部から臀部の筋肉は充分に発達し、安定感とその運動機能を保持できるだけのものでなければならない。
腹部
胸部から緩やかに巻き上がり十分に発達した腹筋と背筋によって引き締まった輪郭を持つものを良とする。但し細すぎるのはよくない。
前肢
肩甲骨は後方に傾斜し脊椎骨と靱帯で接合し、肩甲関節は上腕骨と運動能力を発揮できる角度でつながり、発達した筋肉で覆われている。正面から見た前肢は肩幅で垂直に設置している。引き締まった趾は小さくまとまり、程良い厚みがなければならない。
後肢
前肢よりも力強い構造を有し、前肢以上に発達していなければならない。後肢は推進力を生み出すものであり、飛節は強靭で力強く、着地している状態で正しい角度を有していること。
太く力強く背を越えて位置する。その形状は巻き尾か差し尾であり、他のものは好ましくない。また、体型と程良く均整がとれているものが良い。
被毛
2種類の毛質からなり、オーバーコートは硬く直毛でなければならない。柔らかい毛質や、ウエーブしたものは好ましくない。アンダーコートは稠密で綿毛である。
毛色
赤・黒・胡麻・白がある。赤・黒・胡麻は裏白でなければならない。 赤は、赤褐色から明るいものまである。 黒は斑や白毛の位置・形状に品格がある。 目の上の斑はくっきりと程良い大きさのものでなければならない。顎の白毛は黒毛との境界線が明確であり直線である。その幅は程良いものを良とする。胸の白毛は顎下の白毛部分と完全に隔離しているものが良い。 胡麻は、赤毛地に黒の差し毛があるもの。 白は、純白でなく淡いクリーム色をしている。この毛色で注意しなければならないのは、鼻鏡・唇が必ず黒色でなければならないことであり、眼色は暗褐色か黒色でなければならない。
歩様
軽快で敏捷。先祖犬である柴犬の面影を多分に残し、素朴でありながら気品に満ち溢れている。

*グループについて
KCJの血統書グループ区分はAKCのグループ区分に準拠した国際区分のため日本犬グループはありません。 ちなみに柴犬はAKCではノンスポーティングGですが、KCJではAKC公認より先にⅡハウンドGその他の日本犬もハウンドGで、秋田犬がⅢワーキングGです。 豆柴は将来的に国際的認知が得られた場合、海外団体の登録区分も考慮して国際血統区分はⅥノンスポーティングG、展覧会出陳は他の日本犬種と同じく日本犬グループとしました。