街を歩いていると、様々な⽝たちに出会います。
⽩い⽝、黒い⽝、茶⾊い⽝、⽑が短い⽝、⻑い⽝……。
チワワのように⼿のひらにのる⽝から、セント‧バーナードのような⼤きな⽝、
ダックスフンドのような顔の⽝や、ブルドッグのような顔の⽝……。
姿かたちは違えども、みんな「⽝」であり、
これだけ数多くの種類がいる動物は、⽝だけです。
「⽝と⼈間のつきあいは今から1万1000年前、氷河期の終わり頃から」
ということが近年の研究で科学的に明らかになりました。
⽝は⼈間の良き「パートナー」として、共に暮らしていく中で、
⼈間を守り、助け、様々な役割を担ってきました。
⼈が住むところにはその⼟地の⽝が飼われ、
世界には300〜400種ともいわれる種類の⽝が⼈間とともに暮らしています。
元々ヨーロッパでは、動物を⼈間のために役⽴てて作業を担わせるという意識が⾼く、
古くから牧畜動物である⽜や⽺をはじめ、競⾛⾺(サラブレッド)などへの
「選択繁殖」「品種改良」という考えを持っていたので、
その考えにならって、⽝の役割と能⼒をより良く広げられるように、
選択して繁殖してきました。
「⽝種」とは、何世代にもわたる⻑⼤な時間をかけて、
伸ばしたい能⼒に従って繁殖をほどこし、
その⽝の特徴、外貌、気質、動作などの典型から考えられる理想をめざして
(もちろん健康的であるというのが⼤前提です)固定化していったものといえます。
私たちKCジャパンでは、「⽝種」を役割、能⼒、機能、系統などによって
8つの⽝種群(グループ)にカテゴライズしています。
全犬種のイラスト:村田健司
「犬種わんわんワンダフル大事典」で掲載しているイラストの著作権は、
村田健司または日本社会福祉愛犬協会〈KCジャパン〉に帰属します。
無断使用・転載、二次利用を禁止します。
Ⅰ.スポーティング・グループ(鳥猟犬種群) Sporting Group
「sport」は娯楽として⾏われた狩猟から始まったといわれ、銃を使った狩猟において、隠れている⿃を⾶び⽴たせる、⿃の位置を特定する、撃ち落とした⿃を回収する機能を各々備えている⽝種群です。
Ⅱ.ハウンド・グループ(獣猟犬種群) Hound Group
鋭い視覚を⽣かして獣を発⾒して追跡したり、鋭い嗅覚を使って獣のにおいをたどって追跡したりする能⼒を持っている⽝種群です。
Ⅲ.ワーキング・グループ(作業犬種群) Working Group
体⼒や耐久⼒を必要とする作業、他の動物から⼈間を守る番⽝、護衛、そして災害における救助などの能⼒に優れている⽝種群です。
Ⅳ.テリア・グループ(テリア犬種群) Terrier Group
「terria」の語源は⼤地を意味する「terra」。地中にすむ⼩型の動物を駆除したり狩猟したりする能⼒を持っている⽝種群です。作出されたイギリスの地⽅の名前が付けられている例も多く⾒られます。
Ⅴ.トイ・グループ(愛玩犬種群) Toy Group
⼈間の家族と共に暮らし、愛されるために、愛玩⽝として繁殖された⽝種群です。他の⽬的のために繁殖された⽝種を⼩型化して、家庭内で飼えるように繁殖された例も多く⾒られます。
Ⅵ.ノン・スポーティング・グループ(非鳥猟犬種群) Non Sporting Group
他の⽝種群のように狩猟⽬的や作業⽬的でグループ分けすることが適さない、けれどもすばらしい能⼒を持っている⽝種群です。「伴侶⽝」とも称され、⼈間の⽣活に⽋かせないパートナーともいえるでしょう。
Ⅶ.ハーディング・グループ(牧羊牧畜犬種群) Herding Group
「herd」とは「群れ」、「herding」とは「群れを統率する」こと。牧畜や牧⽺で、吠えたり、追いかけたり、踵を噛んだりして、⽜や⽺を管理するための能⼒を備えている⽝種群です。
Ⅷ.日本犬 Japanese Dog Group
古くから⽇本のいろいろな⼟地で⽣き、⽇本の⾵⼟や⽇本⼈の⽣活、仕事にそれぞれ適した能⼒を⻑い歴史の中で育んできた⽝種群です。
※⼀つだけ注を加えますと、グループ分けは展覧会(ドッグショー)出陳の⽬安のためともいえ、⾎統登録のためのグループ分けでは、⽇本⽝グループは古 来からの役割、能⼒、機能に鑑み、第2グループの獣猟⽝種群や第5グループの愛玩⽝種群、第6グループの⾮⿃猟⽝種群に分けられています。
⽝種わんわんワンダフル⼤事典では、このグループ別に⽝種を紹介することによって、⽝が、この地球という星で、古今東⻄、⼈とともにく らし、よきパートナーとして⽣きていることを実感していただければと思います。